ちょっといい話
いつもシニアばかりで歩くウォーキング、たまにはオジイチャン、オバアチャン、親が子ども達と一緒に歩くのも良かれと大谷さん、和澤さんが企画した5月の「引地川ウォーク」、残念ながら子ども達の参加はなかった。むなしさが残ったが、このほど130人の子ども達と歩く機会を得たのである。 130人の子ども達と一緒に歩くことになったきっかけは、昨年10月、稲村が崎の海辺ウォーキング中に幸運にも飛んで来た白い風船を拾ったからであった。
風船は横浜市旭区白根小学校創立120周年に少年が飛ばしたものであった。拾ったことの返事を出したことも忘れかけていた頃、大きな厚い封筒が届いた。風船を飛ばした少年とそのクラス三年一組全員からのものであった。少年の風船を拾って返事をくれたことを誰もが自分のことのように喜んでいる様子が伝わる30通の手紙だった。女房と涙し、こちらの気持ちを書いて「鳩サブレ」とともに送った。また、30通の手紙があって子ども達に会いに行くことになった。
12月、学校訪問では笛や太鼓でのお出迎えの思わぬ大歓迎を受けた。そして風船をご縁に交流しましょう、と言うことになった。お正月には子ども達から沢山の年賀状があり、初めて一枚一枚、気を入れて返事を書いた。
その後、手紙の交換、再度の訪問、そして9月、四年生は野外体験学習で横浜自然観察の森に行くという話を子ども達から聞いた。この辺りは何度も歩いて勝手知ったる所、一緒に歩きましょうという約束をした。
そして、9月18日はその約束の日、気持ちがはやるのか、待ち合わせの場所に40分も早く着いてしまう。子ども達と3か月ぶりの再会、夏休み中、特に女の子は背が伸びたようであった。車座になってがやがやと一緒にお弁当を食べる至福の時を過ごした後、午後からはグループに分かれて、蝉時雨の中、森の観察となる。
子どもの頃、里山で遊んで覚えた木、草花、昆虫の名前は忘れないものでる。知っているから別にどうってことはないが、聞かれて答えられればこちらも嬉しい。「オジサンと一緒に歩いて、物知りになりました」なんて、最後に挨拶されてはウルウル状態。
オジイチャン、オバアチャンや親と里山を歩けば、日頃できなかった話や自然とのふれあいがあろう。キレル、ムカツクなんてなくなるのではないかと思ってしまう。まだ孫がいない私にとっては楽しい擬似孫体験であった。4時過ぎ子ども達と別れて一時間余歩いて帰宅。翌日、蝉の声はもう聞かれなかった。
(2001/9/18記 八柳 修之)