随 筆
たまには一人歩きを
  世はウォーキングブーム真っ盛りである。当協会でも今年から「ゆっくりウォーク」が企画され今まで速くてついて行けないと、敬遠していた人の参加を得て、益々裾野が広がった感がする。

  大抵、ウォーキングを始めるキッカケは健康のためであるが、やって見ると友達が出来る、知らない場所に行ける、素晴らしい自然を満喫出来る、又IVVなどのスタンプを押している人にとっては地球一周と言う大きな目標が出来るなど、ウオーキングに嵌って行く。ウォーキングの魅力に嵌っている皆さんに私は「一人歩き」を勧めたいのである。

 「一人歩き」とは文字通り一人で自分の好きなコース、場所を自分のペースで歩く事である。このような「一人歩き」をあなたのウォーキングに加える事によって、あなたのウォーキングライフは一段と充実したものになると思う。

  私が斯く思うのは私自身の拙い経験からである。私は若かりし頃登山に凝っており、山仲間と剣、立山、後立山、南アルプスの北岳、甲斐駒など3000メートルクラスの登山を楽しむ一方、丹沢、谷川、奥秩父、八ヶ岳などにはよく一人で出掛けた。何れも懐かしい思い出、苦い思い出があるが、何よりも一人で山へ行くようになって登山の本当の素晴らしさを体得した事である。ガイドブック、地図によるルートの確認、気象データによる天候の予測、など準備は大変であるが、自分の意思で行こうと決めて、苦労して目的地にたどり着いた時の達成感は格別である。又素晴らしい眺めを気が済むまで眺めていると、この素晴らしい景色を親しい友達、愛しい人に見せてあげたいと思うから不思議である。

 このようにして一人歩きの虜になった私のこと、ウォーキングを始めるようになってから当協会や他協会の例会、下見の間を縫って一人歩きを楽しんでいる。

 元旦は鎌倉の八幡様に初詣し、甘縄神社、極楽寺を経て稲村ガ崎から砂浜を江ノ島まで富士を眺めながら歩く。
135号線は初詣の車で一杯であるが、波打ち際は人も疎らで新春の一人歩きの舞台を提供してくれる。更に、自宅の周り東西南北に定食でないが日替わりのコースがあり、気が向けば何時でも一人歩きをする。そうすると必ず新しい発見があるから嬉しい。コースにある飯田牧場では牛のお産に立ち会う事が出来たし、大庭神社では文政年間に建てられた江ノ島道の道標や燈籠寄進の記念碑を草むらから発見するなど興味は尽きない。これからも、一人歩きを続け素晴らしい発見、出合いを愉しんで行こうと思っている。

 どうか皆さんも一人歩きを楽しみませんか。そして、わが湘南ふじさわのウォーキングテリトリーを広げて行こう。
                
会員番号270 和澤 潔