随筆
ものに心なく人に心あり 
 数ヶ月前、「ウォ−キング」にしてはいささか険しい山道を山桜の古木を尋ねて百数十人で歩いた。抜きん出て険しい隘路は一人づつしか登れない。役員スタッフは交替で会員さんに手を貸して登ってもらった。

 そんなことを忘れていた先日のウォ−キング、とある会員さんから「あの時はご親切に・・・・・」と小さなお菓子を頂いた。数ヶ月前に受けたささやかな親切をずっと忘れずに心にかけてくれていたのだ。頂いたお菓子を手になぜか目頭が熱くなった。お菓子そのものより、それに込められた温かな「心」がさわやかな初夏の風とともに全身を満たしてくれた。

 そろそろお中元の季節、世間ではデパ−トから立派な包装紙のお中元が飛び交うことだろう。ただ、どんな高価なものを贈られようが手紙はおろか一言のあいさつ文のない贈り物ほど空虚なものはない。フェイス&フェイス、会って顔を見てこそその笑顔のなかに相手の心が見えるのではないだろうか。

 最近、企業はもちろん個人までが「IT」「IT」・・・・・・「会いてい」のなら会えばいい。会わずに文字だけでコミュニケーションをする、ならまだしも、それさえ省いて「もの」さえ贈っておけば心が通じる?疑問に思うのは私だけだろうか。

 湘南ふじさわウォ−キングの皆さんは男女を問わず人間らしい心の持ち主がたくさんお見受け出来、例会に参加するたびうれしく感じている。物質文明、ここに極まった感のする昨今、人が人として思いやりを持ち温かな<心>で接し合える、そんな「湘南ふじさわウォ−キング」で一緒に歩く楽しみを共有していきたいものである。
当世について行けない  点火のslow