随筆
豊かさのモノサシ 
 こぼれ萩 避(よ)けて歩けり 古都の寺

 いよいよウォーキングに最適のシーズン到来。体と心の健康のために大いに歩こうではありませんか。心と体に・・・・・・・・と言いましたが体の方はあれだけ歩くのですから当然効果があるわけですが、実は心にもこんなに良いのです。

 じっと立っているだけでも汗の滴るこの夏のある日のウォーキング。出発して間もなく「赤」の点滅信号なのに渡ろうとするウォーカーさんたちを制してドライバーに笑顔で会釈する会員さんを見かけた。ドライバーも素敵な笑顔を残して片手を挙げて通り過ぎて行った。件の会員さんは何事もなかったように青信号を待ち渡って行ったが、一連の動作がごく自然でスマート、そしてあのスマイル。見ているこちらもなぜか心が豊になった。品格というか気品というか・・・・・・わが協会には本当に紳士淑女が多い。誠にうれしい限りである。あとに続いて歩きながらあらためて「豊かさ」って何だろう?と考えさせられた。

 わが国は奇跡的な経済発展から今日のバブル崩壊まで驚異的な経済成長と引き換えに、実は最も大切な「何か」を失ったのではないだろうか?
 

 「衣食足って礼節を知る」が、「礼節を失う」になってしまった。昔、三種の神器ともてはやされた電化製品、また3Cといわれたカラーテレビ、カー(車)、クッカー(電子レンジ)等々。その他生活に必要なものはすべて揃い各家庭には「ないものがない」これだけものが豊富になったにしては心の貧しい人が多いように思えてならない。駅のホームでぶつかっても知らん顔、足を踏んでも知らん顔、ほんの一言「失礼!ごめんなさい」と言うだけで気持ちが和らぐのに・・・・・・ものが溢れた分、心が荒廃したのだろうか。ものの豊富さだけが豊かさではないようだ。豊かさとは「もので計る」のではなく、そのものさしは心の安らぎとかゆとり、他人に対するやさしさ思いやりであって欲しい。ものさしを替えて一人一人がほんのちょっとした心がけ次第でみんな心豊になれると思うのは甘過ぎるだろうか?でもそうありたいものですね。

 ウォーキングはタイムを競うわけではなし、歩く仲間とおしゃべりでもしながら体と心をリフレッシュしながらの〜んびりと、明日もまた元気にどこかをご一緒に歩きましょう。
点火のslow