紀行文
楽しく感動的であった
                              
八ヶ岳紅葉の清里高原ウォーク
(会員番号 389高塚 昭吾

  
従来から九月中旬から十月初旬にかけては天候が定まらず、時には、秋の長雨であり台風のシーズンともいわれているが、今年はまさにその通りで、十月に入ったら二十一号台風が、そのあとすぐに別の強風・豪雨の襲来で鉄塔の倒壊をはじめ家屋の損壊等大きな被害が各地であったことが報道された。そんな中で十月九日、十日と八ヶ岳清里高原ウォークの日程が迫り、不順な天候のもと一抹の不安を抱きながら当日の来るのを心待ちした。
   いよいよ当日。はっきりしない空模様ではあったが、全員雨具の装備を確認し六時三十分藤沢駅前に集合、バス二台に分乗し、一路目的地である八ヶ岳紅葉の清里へと出発した。車中では役員から今回ウォーキングについての概要説明があり、その後しばらくは会員同志の明るい会話が交わされ、心配された天候を払拭するかのような盛り上がりをみせ、なんとなく車内に落着きが感じられるようになってきた。
   丁度、その頃、車は富士山の麓、須走り附近を通っており、なんと車窓からみる富士山が淡く、水墨画で描き出されたかのような清楚な姿で、中腹に漂う白雲と共に醸し出す幻想的な景観は、何ともいえない美しさで、しばらく見とれ、山肌や稜線がはっきりしている時は、天候に恵まれるということを思い起こしたら、幾らか気持ちが楽になり、天候のことは心配しないでウォークを心から満喫しようと思った。
   車は予定通り十一時頃、最初の到着地である八ヶ岳自然ふれあいセンターに到着。地元八ヶ岳歩く会の皆様方の温かいお出迎えを戴きながらウォーキングの開会式が行われた。八ヶ岳歩く会役員皆様のご挨拶、当会役員のご挨拶等を経て出発前の準備体操に入った。この会に参加する度に、特に感心させられるのが江尻会長のご指導で行われるこの準備・柔軟体操である。
   自然体で、わかり易く、体の急所(節々)を柔軟にする体操を、全員に抵抗なく指導して下さることは、ご経験豊な者でなければ、なかなか出来ないことである。聞くところによると会長は昭和三十九年の東京オリンピックの競歩選手として日本を代表しご活躍されたとのこと、なるほどと感心し、以来このような素敵な会長のもとでウォーキングを楽しめる喜びを改めて感じた次第である。

   ウォーキングの第一日目のコースは
   八ヶ岳自然ふれあいセンター⇒たかね荘⇒美し森⇒展望テラス⇒八ヶ岳自然ふれあいセンター
   第二日目のコースは
   清里ハイランドパーク⇒バードリフト⇒羽衣池⇒たかね荘⇒東沢大橋(赤い橋)⇒清里寮
   
   二日間約二十キロ、標高一五〇〇米以上の紅葉が真盛りの山中路を何の心配もなく自然の素晴らしさ、尊厳さをしみじみと体験出来た喜びは筆舌に尽くし難いほどであった。
   それもこれも今回、会が実行される直前の不順な天候続きにより山路がどのようになっているか心配でしたが、先導された役員の方は豪雨による通路が、根株や枝葉で邪魔をしているのを発見すると、すぐに携帯鋸で逐一切り取り、道の安全を確保するとか、雨水で軟弱になっている箇所や急な場面に遭遇すると、お互いに声を掛け合って注意を喚起し事故を未然に防ぐ等、細やかなご指導を献身的になさって下さった八ヶ岳歩く会の皆様方や、日頃から微に入り細にわたってのご準備、ご指導、ご高配を賜って下さる江尻会長以下役員諸氏のご尽力があったればこそと深く感謝申し上げる次第であります。
   そしてもう一つ大きな感動を与えてくれたことは宿泊した日の夜、藤沢市八ヶ岳体験教室で開催された「八ヶ岳まきば太鼓会」「藤沢フォークダンス部会」との合同懇親会でした。
   その中でひときわ心に響いたのが、日中牧場で仕事をしながら一生懸命に練習され、未だ一年足らずとかいわれた「八ヶ岳まきば太鼓会」の皆様による演奏でした。力強い撥さばきからくる感動は強く胸を打ち、響く太鼓の音は開拓当時を偲ばせる先祖の魂が乗り移ってきたような感じで八ヶ岳の地域文化の継承と併せ自然環境を保護しながら開発していく意気込みが強く感じられました。
   このような素晴らしい機会に恵まれたのも、当会の役員皆様方が、積極的に各方面に活動されウォーキングを愛する同好の皆様と情豊な交流をなされているからと心から深く敬意を表します。
  最後に本会にお世話になってから、私なりに心の糧として得た言葉を記述してお礼の気持ちと致します。

  
 
   私のウォーキングの言葉
●   歩く喜び味わいながら    一日を健やかに
●  自然美に心を洗われながら  一年を爽やかに
● 人の情けに助けられながら  一生を穏やかに

 誠に有難うございました。