随筆
ゆっくりウォーク「石川の梅」に参加して
北原 弘明
   陽光が心地よかったと思うと、次の日は厚い雲が太陽を覆う「三寒四温」です。とりわけ春の訪れを待つこの時期にくり返されていきます。先日は大変に寒かったですが、2月19日(水)は晴れて温かい日でした。私は'ゆっくりウォーク「石川の梅」'に参加しました。

   藤沢市教育委員会発行「藤沢市文化財ハイキングコース」(改訂版)から抜粋した資料をみますと、「石川の梅」は神奈川県の「名木100選」に選ばれ、藤沢市の天然記念物に指定されている老木は臥龍梅とよばれ、高さ8.5m、樹齢330年を越す豊後梅です。その実も原種に近く驚くほど大きく、沢山収穫できますとありました。

   私たちはこの梅をよく観察し、鑑賞しました。老木のため、枝が折れたところもありました。四分咲きでしたが、満開時にはもっと見事ではないかと思われました。方向を変えて、いろいろなところから小型カメラで写真を撮りました。高年の男性が「この梅は今日のウォークのクライマックスだ」と言って臥龍梅をじっと眺めていました。

   梅の園芸上の分類については、決まったものがないので、私は園芸大辞典をみました。野梅、豊後、杏、紅梅の4性に分けてありました。豊後性は、いわゆる「ブンゴ梅」といって実を成らせる品種群で、樹勢強健、葉は大きくて丸い、淡紅大輪咲きが多く、萼は濃褐色、枝にも秋から春にかけて褐色の色素が現れるとありました。

   梅というと直ぐに次のようなことを思い出させます。'東風ふかば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ' 時は平安、無実の罪によって左遷が決まった右大臣・菅原道真は、旅立ちの朝、庭先に美しく咲いた梅に向け、惜別の想いを伝えます。梅は道真公を慕い、一夜のうちに後を追って、大宰府の地に花を開かせました。天満宮に伝わる「飛梅伝説」です。

   私は平成10年10月30日〜12月18日、全8回毎週金曜日、午前9:30〜12:00 長後公民館および長後地区近辺で、長後公民館、市民健康課の共催による'ぶらぶらウォーキング講座'を受講したことがあります。当時、私は'ぶらぶら'というのは「だらしない」、「まとまりない」、「落ちこぼれの集まり」という印象を受け、よくないと抗議したことがありました。名称はともあれ、運動指導員(保健センター)および保健婦による講義や実技で充実した内容の講座であったことが、今になってわかり再認識しました。

   毎日新聞の人気コーナーに、仲畑流万能川柳があります。この間、次のような句が掲載されていました。'歩行歴 長いがつまずく ようになり'前橋 安田隆夫私はこの句を読んで、一人で苦笑しました。

   副会長・谷村 彪さんは、会報・湘南ウォーカーに「原則として第三水曜日、距離は10キロ前後、歩速4キロ以内、これが'ゆっくり'の鉄則」と、書かれていました。早く歩くことばかりは能ではないと思われます。歩く楽しみの原点に立って、私は'ゆっくりウォーク'への参加は大変によかったと思いました。                   (2003年2月)