四季の道・リバーサイドコース
リバーサイドウォーク体験記
伊藤 清紀
    基地を出発してJR藤沢駅ホームの地下道を通り、遊行寺通りへ出てそのまま道なりに進むこと約15分で市内でも最も交通量の多い藤沢橋に着いた。今回はリバーサイドコースを時計の逆回りに歩く例会に参加した体験記である。 (ただし、写真は昨秋の下見時のものを事務局から借用して使用した、撮影ポイントはこちらを参照)

@ 御殿橋から見た境川
 
  藤沢橋をクランク型に横断すると、右手に赤い欄干の遊行橋が見えてくる。その橋を直進すると遊行寺正門に行くが、リバーサイドコースはその橋の手前を左折する。ここがこのコースの事実上の出発点である。出発点の道は狭く生活道路でもあろうからグループで歩くときには住民の邪魔にならないように気をつける必要があろう。しばらくすると右手に御殿橋が架かっており、そこからは境川の川床に堰があり魚道があるのも見えた。


A
 ホテル・エンパイア
 
 藤沢市民病院
の横を抜け、国道1号線の下をくぐり抜けると、右手川向こうには大清水地区の小・中・高の学校群、教育センター、さらに進むと下水処理施設などが続き、左手は住宅街である。10数年前はこのあたり両側ともは田圃が広がっていたような記憶がある。また、正面には遠く旧ドリームランドホテル・エンパイア(現在封鎖中)が見えるが、この後、数キロにわたって常に前方ほぼ正面に姿を現していた。



B 東俣野中央公園

  横浜水道橋の下をくぐって100メートル位進んだところに、土手を斜め後ろの方向に下りる道があり、そこから水道橋と平行に歩いて農家や墓の間を通り丘の上に上る。道順の詳細は基地で貰うであろう案内図を見てもらうことにして、右に左に折れながら東俣野中央公園に着いた。基地を出発して約1時間、小休止には絶好の公園である。ここからも先ほどのエンパイアが見え、その間に川に沿った田畑や人家が見下ろせ心の休まる風景である。


C 西俣野の田園風景

  東俣野中央公園
を後に、東西橋からまた川沿いの道に戻り上流に向かって歩く。金沢橋を渡って境川の左岸から右岸に出ると、見渡す限りの田園風景となる。ここが西俣野地区である。
  昔は、田圃は農村の四季折々の表情を持った代表的な顔であった。春は一面にレンゲが咲き、それが過ぎると田植えのシーズンとなる。人と牛馬が忙しく歩き回る風景が展開し、後には苗が整然と水面に格子模様に並び、夜になると蛙の声がにぎやかとなる。真夏には強い日差しを浴びた稲の葉が風にそよぎながら目にまぶしいほどの深緑を見せてくれる。やがて秋になると、一面に稲穂が黄色に変わり頭をたれて豊作を告げる。そして稲刈り、脱穀が終わり、野焼きの煙が夕焼けの空に漂う。冬には薄っすらと積もった雪の中で麦の緑が整列する。こうして田圃は一年中忙しく姿を変えて生き生きとしていた。
  ところが今はどうだろう。国の減反政策は農村の風景を一変させた。人は「三ちゃん」に、牛馬は機械に取って代わった。昔は野良仕事の合間に話す世間話も遠くまで聞こえたような気がするが、今は一日中トラクターの音が騒々しい。田圃もところどころが年中休暇となり一面斑模様に変わって、雑草だけが生い茂っている風景をよく見かけるようになった。
  消費地に近い都市型農村のこの西俣野地区の四季の顔はどうなのだろう。ぜひとも季節ごとに歩いてみたいものである。


   リバーサイドコースは、境川引地川との二つの河川岸を歩くことから命名されたのであろう。境川岸に立つ六会マンションから引地川に架かる秋本橋までは約6`にわたって住宅街、商店街、駅前、大学前、小さな公園などが続く。基地を10時ごろに出発すると、この間がちょうど昼食時になる。弁当を開く場所に難儀しそうだが、少し遅くなるのを我慢して日本大学を少し過ぎたところに天神公園があるので、ここを昼食の候補地としてもよい。

D 秋本橋から見た引地川の上流方向

  境川でもそうであったが、引地川の流域にも多くの寺社が点在する。写真の右に見えるのは自性院である。こうした寺社めぐりのコースを取るのも一興であろう。どなたかぜひ挑戦して、投稿していただきたいものである。


E
 大河内橋から見た引地川

   昔から、水を治めることは国を治めることになると言うそうだが、河川事業も大きな公共事業の一つなのであろう。悲惨な洪水を防ぐには川幅を広げ強固な堤防を築くことが必要なのかもしれない。しかしこれで川の風景も味気ないものになった。どこの川を見てもコンクリートの岸が続く。せめて石垣でもと思うがコスト高になるのだろうか、「土手」という言葉は死語になってしまったのか(ドテッ!)。特に都市の中小河川は放水路と化して一段と殺風景になってきた。これもご時世であろうか。国土交通省には見直し機運もあるとは聞くが・・・・。


F
 引地川親水公園

   この写真からではよくわからないが、藤沢市の『公園ガイド』によると、「引地川における自然とふれあいの拠点」と銘打って「引地川親水公園は、良好な水辺空間の形成を図るために、建設省(現国土交通省)のふるさとの川モデル事業の指定を受けて、河川改修事業と一体的に整備を進め、気軽に自然とふれあうことができる湿生植物園や、藤棚、ツツジの丘、桜並木のなどがあり市民に親しまれている。」とある。計画上は平成14年度完成ともあり、これから四季折々の自然を楽しむ場所と期待したいものである。


G 大庭城址公園管理棟

 ここが、このコースのチェックポイント。押印を忘れないように。




H 小糸川と引地川との合流地点から見た大庭城址公園の全景

 前掲のガイドによると、「大庭城は、12世紀関東平氏の雄、大庭氏の拠を14世紀に太田道灌が本格的に築造し、その後小田原北条氏が改修したと伝えれれている。周辺に、駒寄裏門二番構、などの地名が残っているところからも当時の雄大な城が偲ばれる。」とある。


 再び引地川に戻り下流に向かってゴールを目指す。雑草の生えた砂利道をゆっくりと踏みしめて歩くのも疲れた足には心地よい。国道1号線をくぐり、引地橋から河口まで続く整備された散歩道を歩く。この辺りはいろんな並木が続き真夏でも日陰の下で歩ける。東海道線に沿った道へ出たところが高山橋。ここを左折して線路沿いに藤沢駅へ向かう。残りは約2キロ、お疲れさまでした。(了)