スポーツ文化講座 | 〜いかに山とつきあうか〜 |
北原 弘明 |
山の魅力は尽きません。休日には山登りやハイキング、トレッキングなどに出かける方も多いと思います。今回のスポーツ文化講座はこの「山」をテーマに取り上げ、平成16年1月31日(土)、神奈川県立体育センター 第1会議室に於いて安全な登山や、山の魅力などを中嶋 豊氏にたっぷりとお話を聞きました。
中嶋 豊氏は1952年長野県生まれ、前長野県警山岳救助隊長、現長野県警本部生活安全課兼次長。オーストラリア、フランス、西ドイツにおいて山岳救助技術研修。休日は信州里山歩き等を楽しみ、信州山歩きマットを作成しています。ここに、講演の内容を項目別に列記しました。
してみませんか山歩き
●私の山の楽しみ方(その1):登山は4回以上楽しもう
- 1. 山歩きをしようとする気持が大事です。 2.自分の山歩きをしよう・・・・実力に合った。 3.そう言っても装備は大事です。(登山靴、ザック、雨具など)よい物を手に入れた方がよい。 4.家族の理解が最も大事 ・中高年40歳以上、50、60歳代 ・経済的余裕、健康 ・山は危険がつきものと考え方 ・登山の計画書の作成・・・・・捜索にも関係 ・心配させないために
●私の山の楽しみ方(その2):目的は人によって違います
- 1回目 どこの山に行くかという計画 2回目 家族登山の楽しみ、パンフレット・写真などを集める楽しみ 3回目 帰ってから反省や資料の整理 4回目 写真・マップの作成
●私の山の楽しみ方(その3):知っておきたい山の知識
- 心地よい山の空気、気分転換、体力保持・増進につとめる。下手でもいいから趣味・・・・草花の絵、魚の写真
●私の山の楽しみ方(その4):大事なことはルール、マナーを守ること 登山計画など
- 自然現象・・・・雪と寒さなど。 遭難事故・・・・人のことなどかまっていられない。病気・・・・高山病、心筋梗塞など。動植物・・・・熊など
遭難事故を防止するために
“ヘリコプターによる遭難救助”のビデオを約20分間上映しました。本邦初公開のビデオとのことでした。また、NHK長野放送局から取材に来ていました。2月中に編集して、“イブニング信州”という番組で放送する予定のようでした。
- @ 自分の体力や技術に見合った山を選ぶ。 A気象状況に配慮 B単独登山はできるだけ控える。 C危険な箇所や状態などを知っておく(登山なるほど耳より情報・・・・水分の補給、行動食、ベース配分、山のマナー等)。
このスポーツ文化講座の帰りに、私は近くの書店で「山の社会学」菊地敏朗 著(文春新書)を手に入れました。
- 菊地敏朗(きくち としろう)氏は1935年東京生まれ、早大卒、信濃毎日新聞社入社、社会部長、常務取締役松本本社代表等を歴任、現在、監査役。記者時代より山岳遭難、山岳環境問題を追求。この間、64年、長野県山岳連盟を中心とするヒマラヤ・ギャチュンカン(7,922メートル)登山隊に隊員として参加、その遠征報道で日本新聞協会賞(編集部門)を受賞、著書に『栄光への挑戦』(二見書房)などがあります。
私は日本山岳会会員ではありませんが、3,000メートル級の山へ登り始めたのは、中高年からです。山の先輩たちの経験から滲み出た貴重なアドバイスを踏まえて、これからも私はマイペースで山を楽しんで行きたいと思っています。
- 「山の社会学」という新書には、なぜ大衆登山は現在の隆盛をみたのか・・・・象徴的にいえば、コンビニと高速道路網の普及がそれを可能にした。これまで山書分野で語られることの少なかった山小屋、登山道、林道など、登山の舞台裏を紹介しながら、日本百名山登山の実態に迫っています。
- 意外に知らない話、救難ヘリはいくらかかるか、黒部渓谷の歩道は誰が管理しているのか、なぜ上高地はマイカー規制になったのか、アルプス展望台のお奨は、等をデーターと併せて満載しています。
- 伝統を誇る日本山岳会の会員は、平成12年(2000)現在で、約6千人を数えるが、そのうち10代、20代の会員はわずかに69人、全体の1パーセントに過ぎないとのことで、平均年齢は59歳とのことでした。
私の郷里は長野県南木曽町です。この新書には南木曽町にことが掲載してありました。取り出して紹介しておきます。
信州に長年住んでいる身びいきかも知れないが、世に名高い日光の華厳の滝、和歌山の那智の滝に勝るとも劣らぬ名瀑だと、私は思っている。やや古い話だが、昭和2年(1927)に大阪毎日新聞社が催した新日本百景では、堂々の10位に選出されている。
- 『田立の滝は、存外、知られてないようだ。長野県の南端、南木曽町(なぎそちょう)で、木曽川右岸に流れ込んでいる大滝川に、田立の滝はあるが、それは一つの滝の名前ではない。落差96メートルの天河滝を主役に、螺旋滝、不動滝、素麺滝・・・・・・と、大小合わせて10を超える、落下する水の競演が、高度差6〜7百メートルを舞台にして、さながら滝の博物館のように展開する。田立の滝というのは、これらの総称である』
私の息子たちが小学生のとき、私は田立の滝へ連れて行きました。また南木曽岳の麓でキャンプしました。当時のことが懐かしく思い出されました。 (2004年1月)
- 『木曾の南端、南木曽町から木曾三岳の一つ、南木曾岳(1,677メートル)に登ったとき、中央アルプスの“西向きの顔”を初めてまともに眺めることができ、感激したのを覚えている。その南木曾町の木曾川右岸へ流れ込む柿其(ママ)渓谷の上部の恋路峠がある。この峠からの中央アルプスの展望もまずまず。最近は格好の展望ヤグラもできた』