三協会合同
ウオーク
秩父路の花とお寺 久木園大作
                               
私は当協会の仲間三人と4月14、15日開催された秩父札所交流ウオークに参加した。
予定表では28番から32番までの五寺、約39Km二日目は坂道、峠越えが予想されていると言う。私は一行よりも一日早くJR戸塚駅から新宿ラインで池袋へ、それから特急で秩父へと急いだ。ふるさと観光案内所に飛び込んで今夜の宿を決め、案内図を戴いて一番近い13番札所・慈眼寺から始めた。初めての経験で要領を得ない。案内図に従って近い所から順を追って回る事にした。14,16,17,19,181,2,3,4,5,10,11,9を終えたのが5:00少し前であった。18番札所から1番、2番までは、だらだらの長い坂道が続き真福寺には納経所はなく、光明寺が代行していた。途中から巡礼道に入るとミツバツツジと桜が満開だ。3番では白装束に金剛杖の遍路の団体客と出会い、横瀬駅近くの9番明智寺に5:00少し前に入り、今日のお参りを終えることにした。
14日朝、駐車場に三協会が待ち合わせて、28番札所から第三回札所交流ウオークが始まった。29番長泉寺までは1.8Km、あちこちに桜の花が目立っている。浦山川に架かる諸山橋の手前に浦山ダムがあり、そこへ登る道は九十九折れになっており、その道に沿って桜が満開、早春の野山に際立っており、それに色を添える様にミツバツツジが満開、ウオーカーたちが後を振り返りながら、ただただ驚嘆している。言葉が出ない。ミツバツツジは枝先に菱形の葉を輪状に3枚付けることからそう呼ばれていると言う。花言葉「平和」寺紀行ならぬ花紀行となった。誰かが花を鼻に当てる。「匂い」がすると言う。それにつられて、2.3人と続く。空気が澄んでいて道端の花草までが生き生きと新鮮だ。29番長泉寺を過ぎ暫くすると、左の脇道に入って行く。清雲寺の桜を見よう。今日は春まつりも行なわれていた。しだれ桜が関東随一と言う。多くの人人が集まっていた。花火を打ち上げる力姿は見えなかった。エドヒガン、八重チチブベニなどが主で、その中でも樹齢600年の老木、樹高15M、周囲27M、枝張り10M、長泉寺の桜「よみがえり一本桜」も清雲寺の子桜を移したものだと言う。荒川村の三銘木の一つである。因みに花言葉は「優美」だそうだ。30番に向う道の土手の斜面に「カタクリ」の花を見付けた。土手一面に小さな花が振り向いては恥しがる様な姿がなんともいい。30番法雲寺、昼食を終えて宿舎・両神荘に向う。約8Km、2時間を予定、3:00過ぎに着いた。宿舎の脇を流れる小森川の水は澄んでいた。空気が何となく軽く大きく息を吸う。桜の花が私たちを歓迎していた。
三協会の交流会が6:00から始まり、俄か歌手や芸者たちがマイク片手に面白くおかしく歌い踊った。笑い声が広間一杯に拡がった。盛り上がってくると大広間は輪になってくるくると回った。なんと楽しい宴だろうか。破顔一笑というがこのことだろうか。2次会はこの録れたてのビデオ鑑賞会となった。楽しい春の一夜を過ごす事ができた。
諸山橋を望む ミツバツツジ
九十九折れの道には満開の桜が 29番長泉寺境内に咲く「ミツバツツジ」
清雲寺のしだれ桜 カタクリの花
関東随一と云われる清雲寺のしだれ桜 恥ずかしそうに下を向く「カタクリ」の花
二日目、両神荘前広場で高田さん主導のストレッチ、体をほぐしてスタートした。赤東川を過ぎ国道299号線交差点近くの左手に両神山を望む事ができた。この交差点を左に折れて進むと水子地蔵寺があり、小さな衣装をまとった水子像が山の斜面に行儀よく並んで桜の花を見守っていた。トンネルをくぐると31番札所、階段を登る両側にこの寺に因んだ句が刻まれていた。静寂の中に滝の音が木霊していた。
高田さんの紹介で小鹿野の街で昼食となった。店の中で温かいみそ汁付の昼食は助かった。この町は今日が春の祭であり、二つの山車に出会う幸運に恵まれた。笛と鼓の音が街全体に響き、景気付けしている様だ。しばし足を止めた。町外れを右折して金園橋を渡ると左へ細い山道となり、沢沿いに続いている修験僧の厳しい峠越えの道であったのだろう。この「沢を何回か渡る」と看板に書いてある。この「何回」をめぐって、いろいろ意見がとび出して皆さんの心の豊かさを感ずる。300M位進んだところに弁財天の石碑、更に700M位で峠に出た。二体の大日如来坐像があり、ここで一息入れる事となった。急な下り道を32番札所を目指す。舗装道に出るとここでも桜、ツツジの花の歓迎を受けた。秩父の花は香りが漂うほど新鮮だ。法性堂は山の中腹にあり、裏の岩山を削って本尊の聖観音像があった。暫く、休んで下の駐車場で三協会の人々が集まって楽しい想い出に浸って満足そうに見えた。来年の最終回を期待しながら別れを告げた。
水子地蔵 土蔵と満開の桜
小さな衣装をまとった水子像 31番近く鄙びた風景
山車を囲んで記念撮影 法性寺山門
小鹿野の山車を囲んで記念撮影 今年のゴール・32番法性寺山門
* 秩父札所を開祖した方は秩父観音縁起により文暦元年(1234年)3月18日午歳の賢者が秩父霊場をお巡りになったという。本尊は普段は秘仏として非公開だそうだ。       終      (写 和澤)