オールジャパンウォーキング
第一回とって隠岐ツーデーマーチ
福井 正彦
隠岐島は西ノ島・知夫里島・中ノ島の三島からなる島前(とうぜん)とその北東に位置する島後(とうご)とこれを取り巻く180余の小島からなる。本土からは60Km離れた日本海に浮ぶ孤島である。テーマは『日本初内航船で島めぐりを楽しむ』また本年4月より島前三島を結ぶ内航船就航記念イベントも兼ねた大会でもある。 (6/7 〜6/8)

第1日目(土) 距離35km

6/6西ノ島の旅館「つかもと」に宿泊のためシャトルバスで別府港へ、ここから内航船で出発地点の菱浦キン二ャモ二ャセンターに向かう。昨夜宿泊のウオ―カーが三々五々、各島より集合してきた、神奈川県からの参加者は24名であった。8時45分から出発式日本ウオ―キング協会の渡部常務理事の挨拶、地元海士町長、西ノ島町長、知夫村長の挨拶があった、特に知夫村長挨拶はユーモアを含んだものだった。住民(動物も人間とカウントしている)を多い順に並べるとタヌキ(2,000匹)、きじ、牛に馬、最近急速に増えてきたイタチ、その次が人間様で800人とのこと、ここで参加者からどっと笑いの声があがった。9時スタート五島列島、前回の屋久島に続き島シリーズはアップダウンが多い、5分も歩行すると急な上り坂、別府港を眼下に見、しばらく登り坂が続く。急斜面の牧草地では10数頭の牛がのんびりと体を休めている。前方の半島に白い灯台がみえる。つづらおりの林道を抜けると福井地区の民家が見えてきた。バス停が福井、公民館、小学校も福井、何か変な気持ちだ。22kmとの合流地点で戻りのウオーカーとすれ違う、諏訪湾を左に見ながら単純なコースを歩行、給水ポイント(16Km地点)まで3時間を要した。金光寺山入り口を左に見、坂道をひたすら下る、隠岐神社へは4.5km、神社参拝後、後鳥羽上皇御火葬塚へ、ここより少し奥に行くと行宮にあてられた源福寺々院跡が行在所跡として保存されている、見学後給水をとり今朝の出発地点菱浦港へ、楽しみにしていた昼食のアワビ弁当は売切れ生ビールを一杯飲んで13時30分の内航船で知夫里島来居港へ、15分で到着、運が良いことにここでアワビ弁当(\500)をゲット。残り15km、赤はげ山展望台(325m)目指して歩行、仁夫福祉会館(24km地点)を過ぎると急な登り坂、かなりきつい。遥か遠くに展望台が小さく見えるあそこまで登るのか?とたんに力が抜ける。40分位で頂上付近まで来た、放牧地の木柵が右に左にカーブしている。展望台でチェック、残り5km、今登ってきた道を400m戻り左折後は一気に飛ぶように下る、知夫里大橋のループ橋が見えてきた。ゴール17時12分。一個300gはある隠岐のいわがきをご馳走になった。17時50分の内航船で別府港へ

地夫里のタヌキ

タヌキは小心もので、のんびりしていて、寛容で決して人間に危害を加える動物ではない。なぜ、隠岐諸島の中で、地夫里島にだけタヌキが生息しているのか。元々、この島にタヌキは居なかったが、昭和16年当時の宮谷弥太郎村長に、本土からひとつがいのタヌキが寄贈されそれが檻から逃げ出して繁殖したもので、村長の名まえから「ヤタダヌキ」と呼ばれている。雑食性で、天敵のいないこの島は余程住みよかったであろう。あっという間に増え続けて、次第に農作物が荒らされるようになり、しばしば人の手で有害駆除を受ける羽目になるが、いつの間にか元の数に戻っている。最近では牛の飼料を失敬しているのを日中でも見かける。タヌキは夜行性だが日暮れ時にはすでにウロウロしていて車で10分も走ろうものなら、いたるところで出会う。

キンニャモンニャ保存会の歓迎の踊り

牧草地で休息の牛

後鳥羽天皇御火葬塚

2日目(日)  距離20km

今日のスタート地は私が宿泊している西ノ島別府港ターミナルから浦郷港の20Kmである。
出発時間は9時、別府港の東、湾に突きでた鳥居が見える。100段ほど上がった小高い丘の上に黒木神社(参拝)と黒木御所(後醍醐天皇が行在所にした跡(碑が建立されている))を見る。地元ではこの丘を天皇山と呼んでいるそうだ、丘の登り口には黒木御所の資料を展示する碧風館があったが時間が早い為見学できなかった。恒例のスタートセレモニー後出発、国道485号線のなだらかな登り道を歩行、美田、大津の民家を通過、山間道に入る。前方にトンネル工事がほぼ完成している。右にカーブし住宅地を通りぬけると、美田湾に出る。静かでのんびりとした漁港、左に海を見ながら美田湾の奥に船引運河がある。大正4年に完成したこの運河は幅12m、長さ335m島のほぼ中央船越の地峡を切り開いて作られた運河である。内海(美田湾)と外海(外浜海水浴行)を一直線に結んでいる。漁船の通行のために作られたものだが、国賀めぐりの観光船の往来でも賑っている。この上に架かる橋を渡り暫く歩行、我々が宿泊している船越バス停前では民宿の女将さんが予定外の湯茶の接待をしてくれていた。ここでトイレ休憩とお茶を頂き出発。ゴール地の浦郷港前を過ぎた地点より緩やかな登り。由良女神社左の海中にはベニヤ板で出来た海女さんの姿がウオーカーを迎えてくれる。T字路に二人の誘導員が歩行誘導、しばらく直進右手に茶せん(草冠に全)山(224m)が見える。このあたりから急坂が現われた。下りなしの登り坂が続き昨日の赤はげ山と同じだ。摩天崖で給水、ここまではバイパス道路を利用して登って来ることができる。この先は一面の草原となっており牛馬がのんびりと草を食む牧歌的な風景が目を楽しませてくれる。展望台で一休み、海から吹き上げてくる風が気持よい。急な牧草地を右に左にカーブしながら飛ぶように下る、途中何度か牛とすれ違う。右手に乙女姫御殿、通天橋、天上界の奇岩が目に入る。国賀浜で給水、チェックポイントを受け残り3.5Km、気温は大分上がり蒸し暑くなってきた。登り下りの舗装道路がしばらく続きトンネルを潜り左折して浦郷港に12時30分ゴールした。二日間のウオークは無事終了。路線バスで船越へ昨日は14名の宿泊客で食事時もにぎやかだったが今夜は愛媛県の村田さんと二人大広間での食事は寂しい。 襖に隠岐は美しき島、懐かしき島と落語家の桂三枝師匠の書がかかれていた。

黒木御所跡

船引運河

摩天涯牧草地内遊歩道

国賀海岸の通天橋

6月9日(月)  観光

6時30分起床朝食後、8時35分発の観光船で摩天崖を海上から見るため国賀海岸めぐりに出かけた。船引運河を通り抜け左に舵を取ると左側に比類なき大断崖や岩礁、洞窟などが見えてくる。岩礁では渡船を利用した釣り人が糸をたれている。中でも昨日見た牧草地を今、船上から見ると巨大なナイフで切り取った標高267mにも及ぶ大絶壁、海に大きくせり出たアーチ状の巨大な岩の架け橋が通天橋、また明暗(あけくれ)の岩屋は全長250mに及ぶ別々の方向から浸食されてできた洞窟が中で交差し外光の影響を受けて片方は明るく片方は暗い。船はその狭いトンネル内を船体の右左、前後を岩に接触しながら前後進を繰り返し進む。さらに、ささくれだった岩肌の岸壁・鬼が城や天上界など陸上からみる景観とはまた一味異なる。温帯低気圧の接近で波が船体を叩き、スクリュウの回転で海水が白く糸をひいている。浦郷着10時18分、内航船「いそかぜ」10時29分発で来居港へ、フェリー「おきじ」で境港へ。20時15分米子発夜行バス乗車のため境港市で時間をつぶす事にした。ここは妖怪で町興しをしている。妖怪ゲゲのキタロウ、ネズミ小僧、ヌリカベ、目玉オヤジ等のモニメントが妖怪ロード「水木しげるロード」の両端に立っている。妖怪博物館、妖怪神社、郵便局も水木しげるロード局、JR境港線の電車に乗れば車内の天井一面、車両の外壁には妖怪のイラストが描かれていた。
以上