紀行

インドネシアを歩く(5)

ボロブドール遺跡

 平成26年6月16日 池内淑皓

 3月7日(月)滞在7日 今日はインドネシアで一番の世界遺産「ボロブドール遺跡」を訪ねる。日帰りではもったいないので遺跡内のホテルに一泊して朝、昼、夕暮れの遺跡をタップリ楽しむ事とした。
 ホテルからタクシーでボロブドールに行く事とする。1時間程で到着、宿泊を予定していたお目当ての、遺跡内にある「マノハラホテル」は宿泊OKであった(3,700円朝付)。
 庭を挟んで目の前が遺跡なのだ、宿泊客はホテルの札(ふだ)を見せれば出入り自由のフリーパス、いつでも何回でも行ったり来たり出来るし、私の部屋のベッドからも遺跡が良く見える。
 到着した昼から見学して、午後お茶に戻ってまた見に行って、日暮れ頃また見に行く。翌日は朝6時の開錠時に行き日の出のボロブドールを堪能した。

ジョグジャからソロまでの鉄道と、ボロブドール遺跡、プランバナン遺跡、ムラピ山(1291m)地図
ボロブドール遺跡と近くにある仏教寺院の「ムンドウッツ寺院」、「パオン寺院」地図

                  「ボロブドール全体概念図」
ボロブドールと云う名前は未だ解明されていないが、サンスクリット語のボロ(僧坊)、ブドール(高く盛り上がった所)が由来らしい。
建立は8世紀中頃栄えたシャイレンドラ王朝と考えられているが、相当な期間をかけて出来上がったと云う。 図で@の第一回廊からぐるりと第四回廊まで仏陀の生涯と礼拝するレリーフが彫刻されている、上段の釣鐘上のストーパーは72基あり、仏像が収められている。

 「マノハラホテルに宿をとる」 遺跡内唯一のホテル、環境もロケーションも食事も申し分なし。

「ボロブドール遺跡正面入り口」 カンボジャのアンコールワットと比べ、勝るとも劣らない世界最大級の仏教遺跡。
 1814年英国人ラッフルズ総督(シンガポールに初上陸した人)がジャングルの密林の中から発見した。ここを植民地としたオランダが整備し、1973年ユネスコが大々的に修復保存した価値ある世界遺産でアジアの至宝。

「第一回廊の彫刻」 一辺23pの安山岩(チタンと珪酸分の多い火成岩、石垣に使われる)を使用し、接着剤を一切使わず、100万個の石を組み合わせて造られている。回廊には「仏教伝来図」等仏教にまつわる物語が彫刻されている、登場人物は釈迦を始め菩薩、王族、兵士、庶民など一万人を超える人物が精密に描かれている。



レリーフにはインド・グプタ朝の流れを汲むジャワ様式の柔らかく優美な線で彫られているカンボジャのアンコールワットと比較して、全く遜色ない素晴らしい彫像に目を奪われる。  


昼下がり、第四回廊からの彫像

「遺跡修復中の学芸員と」 修復中の現場を小一時間見学させてもらった。
 径23cmのブロックを外しブラシで磨いて元に収める、欠けた部分は同じ石を削って補う。
「最上階のストーパー」 格子状のストーパー内には幸福の仏像が一体ずつ安置されており、隙間から手を入れて釈迦牟尼仏を撫ぜれば幸せになれると云う、背景はジャングル。



ホテルに戻ってビールとミーゴレン(焼きそば)で昼食、背景の奥はボロブドール遺跡、庭からそのまま遺跡まで行ける。 

「遺跡勉強中の高校生たち」 地元マゲラン市の高校生、ヘンドロ君(青ジャージ)

夜明けのストーパーと後方「スンビ山(3371m)」インドネシア富士と呼ばれている。

 
朝日がストーパーを照らすと、ジャングルを覆っていた霧が少しずつ薄れて行く。


朝霧の中に浮かぶストーパー


朝日がストーパーに射しかかると、今まで立ち込めていた夜霧が静かに後退してゆく、霧に濡れた仏像たちは目覚め、供花を待つ。

「朝の回廊」仏たちの表情が生き生きと輝いて見える





朝のボロブドール全景
 インドネシアを歩く(6)に続く