県外便り
飯塚 弘夫 |
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藁と竹のいかだに松明を立て火をつける |
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松明のいかだを狩野川に浮かべ |
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神島橋付近で独特の掛け声ではやし合う |
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多くの日本人には、まとまって休暇が取れるお盆休みはうれしい習わしです。お盆になれば、ごく自然に古里に足が向くのは誰にも自分の根っこを確かめておきたいという思いがあるのかもしれません。まして地方から都会に移り住んだ人々にとって、古里は「よりどころ」でいつもの心の片隅に在り、古里の山や川、親や友の言葉などを思い出して癒された人も多かろうと思います。 「盂蘭盆(うらぼん)」はサンスクリット語の「ウラバンナ」からきた言葉だそうで、多くの地方では8月13日迎え盆・15日藪入・16日送り盆ということでしょう。が、私の住むこの中伊豆の一部では「朔日盆(ついたちぼん)」といわれ8月1日が盆入りとなります。昔、当地ではカイコを飼いマユの生産が盛んで「伊豆の種繭」として有名でした。その養蚕業の関係で朔日盆になり、1日(ついたち)は「釜蓋朔日(かまぶたついたち)」と言われ地獄の釜の蓋が開く日だそうです。 またこの日の夜、各集落ごとに「かわかんじょう」という行事が行われていましたが、年々受け継ぐ若者が少なくなり、昔通りの作法でこの伝統行事を行うのは今では伊豆の国市神島地区だけとなりました。今年も、わらや竹で組んだ最大で高さ6mほどの大小の松明が川に浮かべられ、「乗り手」と呼ばれる若者たちとともにゆっくりと川を下りました。途中、神島橋の上で待つ子供たちと若者が「う、う、うわはーい」と独特の掛け声ではやし合います。多くの見物客、観光客が訪れ、川面を照らす松明を見守りました。 「かわかんじょう」は暴れ川だった狩野川の水霊を鎮め、川での水難者を供養する盆の行事。だんだん昔からの行事や伝統が、消えていくことは寂しい事です。皆様の古里のお盆はどんなものでしょう。 (編集部:掲載の写真は伊豆の国市観光協会から提供をうけたものです) |