紀行
健康ご利益めぐり-30 北区
(最終回)
平野 武宏 |
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ご利益の多い区から順に巡ってきました。ついに最終回の北区の健康ご利益です。ここも寅次郎の住む豊島区のお隣の区です。 最寄駅は代表例です。寄り道の価格は訪問時のものです。 [北区] [諸病平癒]東覚寺 赤紙仁王尊 田端2-7-3 最寄駅 JR田端駅 |
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駅北改札口から左手方向に坂を下ると、右側にある東覚寺門前の不動堂を一対の石造り金剛力士像が守っていますが、どんなお顔かよくわかりません。頭から足先まで全身赤い紙が貼り付けられているからです。 説明板によると「寛永18年(1641年)から露仏で立っている。当時、江戸市中に流行した厄病を静めるために建立。いつごろからか赤紙(悪魔を焼除する火の色)を 自分の患部と同じ個所に貼って病気身代わりと身心安穏を願うようになった。脇にはたくさんの草鞋が下がっていますが、病気が平癒した人が奉納したもの。 仁王様は日夜、具合の悪い人のお見舞いに歩かれるので草鞋が必要との思いやりからである」と記載。東覚寺には谷中七福神の福禄寿も祀られています。(寅さん歩4-1 大江戸福めぐり 谷中七福神を参照) 病気平癒の神様・仏様は都内であちこち見てきましたが、「お見舞いにまで来てくださる神様・仏様はなかなかいませんね」と感心した寅次郎でした。 |
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[髪]王子神社 髪の祖神 関神社 毛塚 王子本町1-1-12 最寄駅 JR王子駅 |
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王子神社境内の左隅に鎮座。 説明板によると「百人一首にも登場する和歌と琵琶の名手、蝉丸が逆髪に嘆き悲しむ姉君のために侍女に命じて、かもじ・かつらを考案し、髪を整える工夫をしたことから博く崇敬を集め、関蝉丸神社としてゆかりの地 滋賀県大津の逢坂山に祀られており、その御神徳を信仰する人々、かもじ業者を中心に江戸時代にここ王子神社境内に奉斎したのが関神社の始まりなり。戦災で焼失したが人毛業界これを惜しみ全国各地のかもじ、かつら、床山、舞踊、演劇、美容師の各界の浄財で再建せられた」と記載。 毛塚の由来は「釈尊が弟子を引き連れ祇園精舎に入られたとき貧女が 自らの髪の毛を切り、油に変えて献じた光が大突風にも消えることなく輝き、世に貧女の一灯として髪の毛の尊さともに毛髪最古の歴史となり長く言い伝えられる由縁である。毛髪を取り扱う我々業者は毛髪報恩特養のために、関神社内に毛塚を建立した」と記載。 健康ご利益めぐりのアンカーは寅次郎にとっては「遅かりしの髪の神様」でした。(王子神社は寅さん歩 その3-1 東京十社の初詣を参照) |
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[こぼれ話]王子の狐火と装束榎 |
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写真上左は王子装束稲荷神社、右は王子稲荷神社です。 王子2-30-13にある王子装束稲荷神社の説明板によると「かって はこの辺りは一面の田畑でその中に榎がそびえていました。毎年大晦日の夜、関東各地から集まって来た狐たちがこの榎の下で衣裳を改めて王子稲荷神社に参詣した言伝えがあることから木は装束榎と呼ばれました。狐たちがともす狐火によって、地元の人々は翌年の田畑の豊凶を占ったそうです。江戸の人々は商売繁盛の神様として稲荷を厚く信仰しており、王子稲荷への参詣も盛んになりました。やがて王子稲荷神社の名のもとに王子の狐火と装束榎の言い伝えも広く伝わり、広重も錦絵に描きました。 昭和4年(1929年)装束榎は切り倒され、装束榎の碑が現在地に遷されました。この榎を記念して装束稲荷神社が設けられました。平成5年(1953年)からは王子の狐火の話を再現しようと地元の人々によって狐の行列が始められ、毎年大晦日から元日の深夜にかけて狐のお面をかぶった人々が装束稲荷から王子稲荷までの道のりをお囃子と一緒に練り歩く光景が繰り広げられます」と記載。 |
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[こぼれ話] 浅見光彦ミステリーウォーク |
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北区はミステリー作家 内田康夫氏の生まれた地。北区を舞台にした浅見光彦シリーズ「北の街物語」を刊行し、TVでも放映されています。 毎年「名探偵★浅見光彦の住む街 ミステリーウォーク」が地元商店街を含めた実行委員会主催で開催されています。写真右はウォークで参加者に配布される手帖です。手帖内に書かれている短編小説内や商店街などに掲示のヒントを捜査し、隠された文章を完成させ応募、抽選で賞品もあり、参加費は無料。 5月に約17日間開催され、地元のみならず全国から浅見光彦倶楽部の人々が集まるそうです。寅次郎も参加し、捜査とウォーキングを楽しみました。地元と密着したウォーキングのあり方のひとつですね。 |
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[寄り道]王子稲荷 名物久寿餅 石鍋商店 岸町1-5-10 最寄駅 JR王子駅 王子稲荷神社手前にある久寿餅ひと筋に創業以来130年を数える和菓子の老舗店。今も製法が変わらないという餅は歯触り、舌触りが大変良いです。570円(二人前) |
[寄り道]平澤かまぼこ店 おでん JR王子駅裏(王子神社側)にある、10時から営業している「かまぼこ屋さんがやっているおでん屋さん」です。中はカウンターでの立ち食いですが、おでんランチ(550円)もあります。名物おかみとの会話も楽しいです。 |
[寄り道]扇屋 玉子焼 岸町1-1-7 寄り道のアンカーは王子神社下で江戸中期の味を伝えている扇屋の玉子焼(650円)です。扇屋は指折りの料亭で落語「王子の狐」にも登場。今は小さな屋台で販売のみです。(12時から営業)駅からすぐの角にあるので通り過ぎないように。 |
[こぼれ話]北(ほく)とぴあ展望台 こぼれ話のアンカーは王子駅の近くの北とぴあ 区民の憩いの場所です。北区の「北」とユートピア(理想郷)、北都とピア(仲間)、北斗七星とピアなどを表現する合成語としてつけられた名前とのこと。17階の展望台からは東西南北の眺望が楽しめます。 写真下は右の森が飛鳥山、正面に東京スカイツリーが見えます。 |
東京23区の健康ご利益の神様・仏様214をまわりました。 長きにわたり、一緒に歩いていただき、誠にありがとうございました。これにて、健康ご利益めぐりの打ち止めとします。 ごきげんよう さようなら (NHK朝ドラの影響です) |
平野 寅次郎 拝 |
[編集後記] |
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健康ご利益の神様・仏様の数は始める前の下調べでは140でしたが、現地を歩いて増え、終わってみると214でした。 区別の健康ご利益神様・仏様数ランキング ベスト5 1.台東区(19)、2.新宿区(17)、 3.江東区(16)、4.目黒区(15)、 5.文京区(13) 具体的な病名別ご利益内容ランキング数 ベスト5 1. 咳・喘息(26)、2.眼(22)、 3.足・腰(18)、4.皮膚病(17)、 5.イボ取り(16) 当時の人々が困っている病の状況がわかりますね。 なお、病名別ご利益総数は293でした。(重複のご利益があるため)内訳は具体的病名があるもの178、病気平癒・延命長寿・悪病退散など包括的なもの115でした。 詳しくは別表-1(ランキング一覧)、別表-2(病名別・所在地別一覧)を参照ください。 |
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皮膚病は死の病として怖れられた疱瘡(天然痘)が主のようです。 イボ取りは単純なイボ取りの他、現在の腫瘍や癌をイボと言っていたようです。又、イボを悪いことにたとえて、取り除くイボ取りも含まれています。現代の糖尿病などの生活習慣病、認知症・ボケ防止に加え、婦人病・美肌など女性専門のご利益があるのには感心しました。 いずれも医療が未発達の時代におすがりした健康ご利益ですので、効果のほどはわかりませんが、「病は気から」と申します。 信じて、お願いし、気持が少しでも癒される方はぜひ選んで訪ねてみてはいかがでしょうか。これだけ健康ご利益をお参りした寅次郎の行く末がどうなるのか楽しみですね。「お願いしすぎて効き目が薄れたのでは?」とは影の声。 「寅さん歩」愛読者からいただいた声をヒントに、第3章から知り得た健康ご利益以外の話を「こぼれ話」とし、「寄り道」は寅次郎の好みですが食べ物を取り上げてみました。コースの近くにはなかったり、時間が早すぎて紹介できなかった店や満腹で立ち寄れなかった店もありました。 寅さん歩のシリーズ物は始めだすと、「世の中、明日は何があるかわからない。志半ばで終わっては後悔する」と早く終わらせたい気持ちが強まり、急いで歩き回った寅次郎でした。 今回も多くのことを学びました。
[最後のこぼれ話]こぼさずにすみました! 都内の公園はどこもトイレが設置されています。また寺社にもトイレがありますが、一度だけ苦しい思いをしました。世田谷区で住宅街の中を歩いた時はどこにもなく困まりはて、住宅建築工事の仮設トイレをお借りしました。快く貸してくれた怖そうな顔の工事の方は地獄で会った仏様のようでした。これもご利益ですね。助かりました。 平野 寅次郎 拝 |