紀行

          
   江戸・東京の祭-4

          (秋祭)
平野 武宏

9月第二週・第三週には都内各地の鎮守様の秋祭りが集中して行われています。 
最寄り駅は代表的な駅です。

[だらだら祭]  芝大神宮
                  最寄駅 大江戸線 大門駅


平安中期に伊勢神宮の分霊を勧請したと伝えられ、江戸時代には「関東のお伊勢さま芝明神」と呼ばれました。祭は9月11日~21日まで続く日本一長いお祭で「だらだら祭」と呼ばれます。二日目の9月12日訪問すると閑散として、テントの役員の方も「このようにだらだらとやります」と言っていました。お伊勢参りを兼ねて、関東近郊から多くの祭り見物の人が来るのを配慮して、長い期間やっているとのこと。江戸時代は境内には相撲、芝居小屋、見世物がかかり庶民の憩いの場所として親しまれました。「め組の喧嘩」(この境内で起こった火消しと相撲取りの喧嘩)は歌舞伎の演目にもなっています。寿を祝う縁起物や風邪予防として新鮮な「しょうが」が売られていました。宮鎮座当時はこの周りはしょうが畑であったところから、神前に供えられ、参拝者にも売られたそうです。





高知県JA奉納のしょうが

社務所で売っていたしょうが

[天祖神社 例祭] 天祖神社(大塚)

                        最寄駅  JR大塚駅



都内各地に天祖神社があります。氏子町内には祭礼のポスターが貼られていました。寅次郎の住む大塚駅南口にある天祖神社は昔の巣鴨村(今の巣鴨・西巣鴨・北大塚・南大塚・東池袋二~五丁目・上池袋一丁目)の鎮守様で鎌倉時代末の元亨年間(1321~24年)に領主の豊島氏が伊勢の皇大神宮の神様(天照大御神)をお迎えしてお参りしたのが最初と言われています。
明治6年に天祖神社と名前が変わるまでは神明社、神明宮と呼ばれていました。
伊勢神宮の大祭と同じ9月17日の秋の例大祭は神輿や山車が繰り出されての盛大な祭だったそうです(神社縁起に記載)境内には大戦の空襲で焼けてもなお、芽を吹いた樹齢500年のご神木、夫婦イチョウの木があります。

天祖神社正面入口

夫婦イチョウ

9月14日宮元神輿は江戸はやしの太鼓山車を先頭に町内を担ぎまわります。
各町内の神輿も神社に集まります。寅次郎の住む北大塚(北一睦)も神輿があり、担ぎ手の募集がありましたが、お祭取材でそれどころではありません。

[牛嶋神社 例祭] 牛嶋神社
       最寄駅 東武スカイツリーライン とうきょうスカイツリー駅


9月15日ウォーキングの例会で墨田区本所を歩いていると牛嶋神社例祭のポスターがあり、東京スカイツリーをバックに神輿が置いてありました。
少し行くと業平で神輿に出会いました。背景は東京スカイツリー、墨田区ならではの祭りの光景です。

[かかし祭] 東麻布商店街
                 最寄駅 大江戸線 麻布十番駅


港区を歩いていると、こんなユニークな秋祭りに出会いました。麻布という地名とのギャップが面白く写真を撮りました。2014年は第40回とのことです。
東麻布商店街には東北方面から上京し、住み込みで働く人がたくさんいたので、故郷を離れて働く人たちを励まそうと始まったとのことで、お祭は10月3日~4日



[ふくろう祭] 豊島区民まつり 神輿の祭典
                       最寄駅 JR池袋駅

池袋のシンボルは「ふくろう」。豊島区の形が羽を広げたふくろうのようなのによるとのこと。(寅さん歩その1 豊島区境を歩く を参照願います)昔、池袋の森にも多くいたそうで、不苦労(苦労知らず福を呼ぶ)や福籠(福が籠る)とも書いて縁起の良いものです。また、闇の見張り役や首がよく回るので商売繁盛とされ、西洋では昔から知恵のシンボルとして尊重されたとのことです。
ふくろう祭は豊島区民まつりとして9月17日・18日及び10月11日・12日に開催です。池袋駅西口駅前に特設舞台を設置して、9月は近くの池袋御嶽神社の氏子神輿パレードします。写真下右のセンターふくろう(モザイカルチャー=金属フレームに植物を植えこんだもの)は西口駅前広場にあります。ふくろう祭の後半は10月に東京よさこい(次回に紹介)が行われています。





上の写真は昼間の神輿パレードですが、夕刻に「宵神大輿パレード」も行われます。早寝早起きの寅次郎は夜に出かける行事は苦手なので行きませんでした。
第二会場の西口公園の舞台では太鼓ショーが行われていました。
舞台の周辺には焼き鳥、焼きそば、餃子の屋台が並び。食べながら飲みながら舞台を楽しめます。

[こぼれ話]池袋とふくろう

豊島区の地図の形が羽を広げたふくろうのようだとお話ししましたが、この地には江戸時代、母親思いの娘が病の母親の薬代がなく雑司ヶ谷鬼子母神に祈っていると、「ススキを束ねて、ミミズクの人形を作って売りなさい」とのお告げで、境内で売り、薬代にしたとの民話があり、豊島区の郷土玩具(写真右)となりました。
ミミズクは同じフクロウ科で、羽角(いわゆる耳)があるものを言うそうですが、ふくろうとは特に区別をしないようです。
福を呼ぶ縁起物として豊島区もシンボルとして、ふくろうの像が各所にあると聞き、豊島区役所を訪ねると区長室前には多くのふくろうがいました。親切な職員の方が池袋駅周辺のふくろう像の資料(区はふくろう第25号まで認定)をくれました。





 
第1号ふくろう像(区長室前)


区長室前の壁に掲示





 
第14号東口ふくろう交番  

区長室前のケース(写真上・下)







いけふくろう(JR池袋駅北通路東口)

第20号中池袋公園(豊島公会堂前)

第23号アウルタワーのふくろう像の群れ (アウル=OWL=ふくろう)

   (写真上左は入口、右上下はビル地下通路のハロウィン仮装のふくろう達)



「東京よさこい」会場ではこんなふくろうにも出会いました。


   写真上左は第24号西口駅前広場のセンターふくろう脇 えんちゃん(常設)
   写真上右は西口公園会場にいた ゆるキャラふくろう としま



 [ 次回は東京の新しい祭を紹介します。]


平野 寅次郎 拝