紀行

江戸・東京の祭-15
        (新しい祭-2)
平野 武宏

[港区ワールドカーニバル]

 ~大使館をめぐるスタンプラリー~


港区ワールドカーニバル実行委員会主催のお祭りがあるとの小さな新聞記事を見て、港区役所に行き、参加パスポート(写真下右)を入手しました。最寄り駅は代表例です。
平成27年(2015年)1月21日~3月6日に港区のお祭り参加15ヶ国の駐日大使館をめぐり、普段はなかなか立ち入る機会がない大使館内に入ることが出来ました。好評で日時指定で事前予約の8ヶ国の大使館は既に定員満員、時間指定のみで予約不要の7ヶ国の大使館を訪問しました。


[オーストリア共和国大使館]

 元麻布1-1-20 最寄駅 大江戸線 麻布十番駅

麻布十番商店街から昔は樹木が暗くなるほど生い茂っていたと言う「くらやみ坂」の途中にあり(表題右の写真は大使館正門)インターフォンすると正門下の扉が開き、事務所入口から入り、事務所受付に置いてあるスタンプをパスポートに押印(写真下右)
               
    

オーストリアは通称とのこと。
首都は音楽の都ウイーン。公用語はドイツ語。スペルや発音が似ていて同じ港区にあるオーストラリア(豪州)大使館と混同されることがよくあるとのこと。

[ブルキナファソ大使館]

 元麻布2-14-34 最寄り駅 日比谷線 広尾駅

オーストリア大使館から「くらやみ坂」を上り、有栖川宮記念公園方面に歩き、公園手前の麻布運動場脇から入る道を迷いながら見つけました。

  



事務所のドアを開けるとスタンプ台があり、壁にはアフリカの地図と日本の3/4の面積で主要産業は綿花とごま等との説明が表示してありました。モシ王国からフランス植民地を経て独立の西アフリカの共和国、公用語はモシ語・フランス語。首都はワグドゥグー。
ブルキナはモシ語で「高潔な人」、ファソはジュラ語で「祖国」を意味するとのこと。寅次郎、初めて知った国でした。

[マダガスカル大使館]

 元麻布2-3-23 最寄り駅 日比谷線 広尾駅

有栖川宮記念公園の脇を麻布中・高校方面に行き、カタール大使館先を左折するとあります。入口前左には国の形をした石の表札。


頂いたパンフレットによるとアフリカ東海岸から約400km沖合、インド洋西部に浮かぶ島国。世界で4番目に大きな島で日本の約1.6倍。
スペイン人により発見され、フランスの植民地から独立、社会主義国から自由主義国に変わったという波乱の歴史を持つ。公用語はマダガスカル語・フランス語。首都はアンタナナリボ。神秘の木 バオハブ(写真下左)と独自の生物進化をとげたキツネザル写真下右)等の不思議な動物の楽園とのこと。

  

 [カナダ大使館]


 赤坂7-3-38 最寄り駅 大江戸線 青山一丁目駅


青山通りを赤坂方面に歩き、赤坂郵便局の先にあります。左側は赤坂御用地。
隣の高橋是清翁記念公園側の受付で名前を書き、エスカレーターで大使館受付(写真上右)へ。エレベーターでB2階に下り、図書館の中にスタンプ台がありました。(写真下左) 

     
   

世界で2番目の面積を持つ国。歴史的には先住民族が居住するなか、英・仏両国の植民地連合国で始まり、英国から独立、主権国家となった。立憲君主制で連邦政府の運営は議会制民主主義。
公用語は英語・フランス語。
首都はオタワ。

[フィジー共和国大使館]

 麻布台2-3-5ノアビル14階 最寄り駅 大江戸線 赤羽駅

桜田通りの飯倉交差点の茶色のビルの14階にあります。通称はフィージー。
約300余の火山島と珊瑚礁からなるオセアニアの国家でイギリス連邦加盟国。
首都はビティレブ島のスバ。公用語は英語・フィージー語・ヒンドゥスターニー語とのこと。 
  

 [エチオピア連邦民主共和国大使館]

 高輪3-4-1 高輪偕成ビル2階 最寄り駅 三田線 高輪台駅

桜田通りを明治学院方面に行くと右側に国旗が立っているビルの2階に事務所受付があります。エチオピアの衣類が紹介されていました。エピオピアは通称とのこと。




いただいた資料によると、東アフリカの赤道近くに位置するが、平均標高約2,400mの高地で気候は熱帯ではないとのこと。
ローマオリンピックのマラソンを裸足で走り優勝、4年後の東京オリンピックでは靴を履いて連続優勝したアベベの祖国程度の知識でしたが、エチオピアは人類が初めて二本足で立って歩行をした地と初めて知りました。ユネスコ世界遺産登録が9か所あるそうです。
首都はアジスアベバ。公用語はアムハラ語。都市部では英語、イタリア語、アラビア語も使用。都市部以外ではさまざまな民族の言語(約80種)が使用されているとのこと。

 [エクアドル共和国大使館]

 西麻布4-12-24 第38興和ビルディング806号室
 最寄り駅 大江戸線 六本木駅

西麻布交差点の渋谷寄りにある第38興和ビルディングの8階・9階は14ケ国の大使館が入る大使館ビルです。

      

ドア(写真上右)を開けると、大使館受付(写真上右)です。

南アメリカの西南部に位置し、赤道直下の国、スペインから独立。
エクアドルとはスペイン語で赤道を意味するとのこと。
首都はキト。公用語はスペイン語。国特有の鳥・蝶・両生類・哺乳類が多く生息しているそうです。ゾウガメの島 ガラパゴス諸島もエクアドル領です。

スタンプラリー終了した翌日の3月7日には、ワールドカーニバルのイベントがJR新橋駅SL広場であり、獲得した大使館スタンプの数による抽選会があり、7ヶ所をゲットした寅次郎は2回の抽選が出来ました。
(3ヶ所で抽選1回、6か所で2回、15か所全部で6回)結果は2回とも残念賞、2019年日本で開催のワールドカップラグビーのシールとバッチでした。会場ではエチオピアのダンスが披露されていました。





 
[こぼれ話]  寅次郎という名前 
       
平成27年(2015年)のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」主人公の兄の吉田松陰が寅次郎と呼ばれているのを知り、親しみを持ちました。松竹映画「男はつらいよ」の寅さんのように全国のウォーキング大会を歩き回り、妻の友人から「寅さん」と命名され、ペンネームに「平野 寅次郎」を使っていますが、寅次郎の名前に興味を持ちました。
三人の寅次郎はいずれも外国とご縁がある方でした。

車  寅次郎・・ 松竹映画「男はつらいよ」の主人公。東京は葛飾柴又で生まれ、父親とけんかして16才で家を飛び出し、テキヤ稼業で全国のお祭りを渡り歩く渡世人、人呼んで「フーテンの寅さん」。柴又で団子屋のおいちゃん夫婦と腹違いの妹「さくら」が寅さんの帰りを待っています。
映画「男はつらいよ」第41作では寅さん、旅先で助けた青年に誘そわれ、一緒にオーストリアのウイーンにあの恰好で生涯で一度の海外旅行に出かけています。

               
吉田 寅次郎・・ 長州藩の志士 吉田松陰の通称。幕末の日本国を憂い、外国を学ぼうと、黒船に乗りこむ企てで捕まり、投獄されますが、故郷の萩に戻され、自宅蟄居の身ながら「松下村塾」を開き、明治維新の原動力となる多くの人材を育てています。大老 井伊直弼による安政の大獄に連座し、捕えられ、江戸伝馬町牢屋敷に入れられ、30才の若さで処刑されます。
明治維新後、弟子達に祀られた世田谷の松陰神社は井伊家の菩提寺、豪徳寺のすぐ近くという因縁です。

   
山田 寅次郎・・ トルコでは有名な日本人だとトルコ旅行の時にトルコ人ガイドから教わり知りました。明治23年(1890年)オスマン帝国の軍艦が日本に来た帰りに紀州沖で暴風雨に遭遇・難破、和歌山県串本の人達が流れ着いたトルコ人を献身的に助けた事件を知った山田寅次郎、個人的に犠牲者遺族に対する寄付金を全国に呼びかけ、5,000円(現在の価値で約1億円)を集め、明治25年(1892年)自らイスタンブールに持参しています。
トルコ皇帝から士官学校の日本語教育を要請され、そのままイスタンブールに滞在し、日本人で初のイスラム教徒になった人とのこと。以降、第一次世界大戦まで実業家として日本とトルコを往来し、両国の懸け橋になりました。トルコが親日的なのはこの方の影響もあるそうです

 
               
             
 次回は江戸らしい祭り-7です。
              
                 平野 寅次郎 拝