紀行

江戸・東京の祭-17
        (花の祭-3)
平野 武宏

[さくら祭り]

江戸っ子の春のお祭りはお花見です。長屋の連中の花見の光景は落語にも登場しています。現代では桜の開花・満開・お花見の席取り状況がニュースとなります。
第八代将軍徳川吉宗は徳川家の霊廟がある上野では庶民が大騒ぎして楽しめないと、飛鳥山(北区王子)に桜を植え、無礼講で楽しめるお花見の場所としました。又、隅田川の土手に桜を植え、多くの人々に集まり、歩いてもらい、土手を踏み固めて、洪水から町を守ることを考えています。
いずれの地も先人たちの知恵で江戸・東京のお花見の名所となり、毎年「さくら祭り」で賑わっています。
都内各地で開催されていますが、代表的なさくら祭りや初めて行く地を取り上げました。
他の地の桜の写真は寅さん歩 その5-1、5-2、5-3東京の桜2013、2014を参照。

[千代田さくら祭り]

自治体の冠が付いた「さくら祭り」も恒例になっています。
「世界の人に見せたい日本の桜」第一位に選ばれた千鳥ヶ淵の桜(写真下)や北の丸公園、靖国神社、外濠公園等の桜の名所を持つ千代田区は立派な公式ガイドブックを配布しています。
無料シャトルバスの運行ルートやイベント情報を英文併記で外国の方も利用できます。

なお、自治体の冠の付いたさくら祭りは文京区さくら祭り(茗荷谷の播磨坂が会場)及び北区さくらウォーク(王子の北区役所から石神井川の桜並木を板橋まで歩いて戻る)等があり参加しました。

  [うえの桜まつり・うえの桜フェスタ]

    最寄り駅 JR上野駅

上野恩賜公園で開催のお祭りです。
うえの桜祭りは3月21日~4月12日、うえの桜フェスタは4月3日~5日です。
上野の桜は「世界の人に見せたい日本の桜」第三位だそうです(第二位は吉野山)桜が見頃だとのTVニュースで、3月28日に出かけました。さすがに人出が多く、特に外国人(東南アジア系)が多く目立ちました。
桜フェスタは噴水前広場に日本の伝統文化の出店のテントが並びます。

      




又、東京国立博物館では“博物館でお花見を”と日本庭園(写真上) が公開されていました(3月17日~4月19日)特別展チケットのある方と70才以上の方は無料で観覧できます。(他の方の観覧料は620円)

 [舎人公園の千本桜まつり]

  最寄り駅 日暮里・舎人ライナー 舎人公園駅

平成20年(2008年)開業の日暮里駅(荒川区)から見沼代親水公園駅(足立区)までの13駅・約20分の都営モノレール(日暮里・舎人ライナー)の舎人(とねり)公園駅東口には元からあった桜300本に平成16年から3年をかけて植えられた700本を加えた千本桜があります。
西口に降りると公園事務所の先に「レーガン桜」(こぼれ話ー1参照)があります。4月4日には花火を打ち上げるとポスタ-に記載がありました。夜の苦手な寅次郎 寒いので行きませんでした。




舎人公園千本桜

[神田川さくらウォーク]

さくら祭りのイベントにはウォーキングがあります。
東京の桜が満開と発表された3月29日井の頭恩賜公園から高井戸・下高井戸・東中野まで、3月31日に続きを江戸川公園まで歩きました。こぼれんばかりに咲き誇る桜が楽しめました。


井の頭恩賜公園(武蔵野市・三鷹市)

高井戸駅周辺(杉並区)

東中野駅周辺(中野区)

面影橋周辺(新宿区)
 [こぼれ話ー1] レーガン桜

舎人公園で見つけた桜です。アメリカ ワシントンのポトマック河畔の桜は明治45年(1912年)当時の東京市長 尾崎行雄が足立区江北の五色桜の苗木を贈り、成長したものだそうです。親木の桜が減少した足立区の住民は「五色桜」の復活を願い、昭和56年(1981年)里帰りを実現させました。
これは日本人の桜の対する敬愛に共感したナンシー・レーガン元大統領夫人がポトマック河畔に最初に植樹した「タフト桜」から採った苗木を親善の印として日本に贈りました。
この木は舎人公園に植樹され、都知事によって「レーガン桜」と命名されました。

 [こぼれ話-2] 逢初桜(吉原神社)

吉原大門から鷲神社に行く途中の吉原神社で出会った桜です。

寅次郎、淡いピンク色で吉原の地で咲く桜の名前が大変気に入りました。
   
説明板には「逢初(あいぞめ)」とは恋焦がれている人に初めて会うという意味があり、200年前に吉原神社(旧吉徳稲荷神社と称す)のご神木として崇信されていましたが、明治44年の大火で焼失し忘れられていましたが、昭和25年100年ぶりにご神木として復活しました」と記載。 
                

 [こぼれ話-3」 ウォーキングもお祭り ? ?  

 桜祭りのイベントでウォーキングが行われています。   

 ・お祭りの呼び方はさまざまで、その数が多い。
 ○○まつり、○○市、フェスティバル、フェスタ、祭典、カー ニバル、バザール、セレモニー、イベントなどお祭りの呼び方は様々です。
五穀豊穣を祝うことや厄病退散・厄除け祈願などで行われる神社の祭りをイメージしていましたが、お祭りは人の一生や日々の生活の中に多く存在していることに気付きました。2月に行われた「東京マラソン」に併催して東京都主催「大マラソン祭」と称した「マラソン応援ウォーク」が行われていました。
昔から日が決められて今日に引き継がれている伝統のお祭りの他に週末には、何と多くのお祭りがあると強く感じた寅次郎です。

 
 ・お祭りは持つパワーと終わった後の静寂さ・空しさがある。
お祭りは人々を集める力があります。
小さな個人の力を皆で合わせると数十倍の力になり、重いお神輿をも担ぎ上げるパワーとなって盛り上がります。
同じ目的に向かう総合力となったパワーなのです。
そしてお祭りが終わると、又個々に戻り、昨日までの熱気や盛り上がりが、うそのような静けさになる不思議なパワーなのです。
どこにあんなパワーがあったのでしょうか?
あのパワーは次のお祭りまでどこにいったのでしょうか?街も人々もなにもなかったように静かに行動しています。
ウォーキング大会や例会に参加する人々にも同じ感じがします。
「歩きたい・歩くことを楽しみたい」との同じ目的の元に集まり、10キロ以上の距離を黙々と歩き、ゴールしてしまえば、又それぞれの生活に戻る。普段は歩く恰好をしていないから、街ですれちがっても、気付かないことが多い仲間達です。

 ・お祭りを盛り上げる協力者がいる。     
露店や屋台はお祭りを盛り上げます。松竹映画「男はつらいよ」の主人公の寅さんは全国のお祭りを追いかけて、口上と共に物を売る職業でテキヤと言います。商売のことをバイ、寅さんのように口上付きで売ることを啖呵を切ることから「タンカバイ」と言い、これは一種の話芸でプロのテキヤの中でも一目置かれたバイで、テキヤの世界では露店の屋台より地位が高いそうです。
残念なことに今ではお目にかかることが少なくなりました。
「テキ屋 殺すに刃物はいらぬ 雨の三日も降ればいい」と天候に左右される職業で、これまた天候に左右されるウォーカーと同じです。
ウォーキング大会や例会では企画・運営してくれるスタッフが協力者です。

     ~ウォーキングも歩くお祭りでした!!~

次回は花の祭-4です。

                
平野 寅次郎 拝