紀行

江戸・東京の祭-19
      (江戸らしい祭-8) 加藤清正公
平野 武宏

ゴールデンウィークに入ると待ち構えていたかのように、江戸らしい祭が始まります。パレードのある同じ開催日の時間調整に苦労しました。 
最寄り駅は代表例です。

 [千駄木かっぽれ祭り]

  最寄り駅 有楽町線 千駄木駅

根津神社のつつじ祭り(江戸・東京の祭-18参照)の帰りにポスターを見つけ、4月29日再度、出かけました。つつじ祭りの一環で千駄木二丁目商店街振興組合主催、「桜川流 江戸芸かっぽれ」のみなさんによる、根津神社北側の千駄木門から団子坂下までのかっぽれのパレードです。



 [両国にぎわい祭り]

  最寄り駅 JR 両国駅

大相撲夏場所初日(5月10日)を控えた両国駅周辺がお祭りでにぎわいます。第13回 両国にぎわい祭りは5月2日~3日に開催。両国駅西口の国技館通りをメイン会場に国技館、回向院、江戸博物館、両国駅広小路が会場です。地元の相撲部屋や料理店のちゃんこの出店が並び、食べくらべができました(1杯500円)

    


実行委員長は回向院副住職






写真はメイン会場の鶏ソップのちゃんこ巴潟(上)、国技館会場の立浪部屋ちゃんこ(下)のもので、それぞれ味の特徴があり美味しかったです。
回向院の脇では「大江戸・両国伝統祭」も開催。南京玉すだれ(すだれで鯛を作る)と江戸の手妻(手品のようなもの)などが見られました。




 [清正公大祭]覚林寺

  最寄り駅 三田線 白金高輪駅

清正公とは虎退治で有名な加藤清正公です。
5月4日~5日に白金台の覚林寺で行われる男児の成長を祝う端午の節句の時期に戦国武将の加藤清正を偲ぶ祭りです。武運の強かった清正公にちなんでこの両日だけは「葉しょうぶ」の入った「勝守」や「開運出世祝鯉」が授与されます。有料ですがお守りを求める長い行列ができます。覚林寺は清正が朝鮮出兵の折に連れ帰り、養育した朝鮮国王族の子が日蓮宗の僧(日延)になり、清正を祀って建てた寺です。

               

写真上左は山門、山門前ではしょうぶ(写真下右)が売られていました。
写真上右の拝殿の勝守売り場の説明書き
「勝守のいわれ
加藤清正公の強いご運にあやかって人生の苦悩に勝てますようにという願いを込めたお守りです。どうぞ身に付けてお持ちください。しょうぶ入りの勝守りは5月4日と5日の大祭の時だけです」

「鯉のぼりのいわれ 
鯉は古来から出世魚と言われていますが、これは鯉は滝をのぼると龍になるという中国の伝説に由来するものです。当寺の鯉のぼりは清正公のご加護をいただいてお子様がたくましく健やかに育つよう願いをこめて祈祷してあります」


 [勝矢祭] 亀出神社~亀戸香取神社

  最寄り駅 新宿線 大島駅~JR 亀戸駅

平安時代に起きた平将門の乱を納めた藤原秀郷が戦勝の礼として弓矢を奉納したと言う故事にちなんで5月5日に行われます。
平安時代の装束に身を包んだ武者達が末社の亀出神社で勝どきを挙げ、香取神社に勝矢を奉納すると知り、出発地の亀出神社に向かいました。
     



修祓・乾杯・勝どきの後、出発です。先頭はミス勝矢祭、マーティングバンド、奉納する弓矢を持った追討使の武者達、剣道・なぎなた姿の高校生、裃姿の町内会の役員と老・若者が入り乱れた行列が面白かったです。








亀戸香取神社は寅さん歩 その10 健康ご利益めぐりー7 江東区-2を参照ください。 平将門はこぼれ話-1を参照。

 
[宝の舞]浅草寺

  最寄り駅 浅草駅

5月5日の子供の日にちなんで子供たちの健やかな成長を願って行われる祭りで昭和47年(1972年)から始められたそうです。
浅草寺の本尊である観音様を見つけたと言われる檜前浜成、竹成兄弟に扮した漁師姿の幼稚園の子供たちが七福神を乗せた宝船を引きます。
パレードは伝法院前の浅草公会堂脇から仲見世通りを通り、浅草寺本堂前まで行きますが、仲見世通り以降は大勢の人で写真が撮れる状態ではありませんでした。




 [こぼれ話ー1]将門塚

  最寄り駅 大江戸線 大手町駅
   
平安中期、京で政権をほしいままにした藤原氏に立ち向かった平将門は坂東の英雄として神田明神(神田神社)に祀られています。
神田明神は江戸城の建設で大手町からお茶ノ水に移転しています。
首塚由来の説明板によると「藤原秀郷の奇襲を受けて享年38歳で憤死した将門の首級は京都に送られ獄門にかけられましたが、3日後に白光を放って東方に飛び去り、大手町のこの地に落ち、村人により塚が築かれたと語り伝えられています。現在、塚の跡にある石塔婆は徳治2年(1307年)真教上人がその霊を供養したもので、焼損するたびに復刻し現在に至っています」と記載。この場所がビルに囲まれた形で残されているのは、動かそうとした工事で祟りと思われる事故がたびたび起きたことによるとされています。平姓を名乗っている寅次郎、他人とは思えず、念入りにお参りしました。


 [こぼれ話ー2]大相撲夏場所稽古総見

本場所前に行われる横綱審議委員会の稽古総見です。4月29日両国国技館で7時30分から行うとの情報を得て、初めて見に行きました。
7時に到着すると国技館前は長蛇の列(ニュースによると6時30分で約1,500名いたとか)入場無料・自由席で何とか西升席の最上段に座ることが出来ました。幕下の申し合い稽古、十両力士が幕下力士に胸を貸すぶつかり稽古、十両の申し合い、幕内力士が十両力士に胸を貸すぶつかり稽古、幕内大関力士の申し合い、横綱が指名した力士との申し合い、続けて胸を貸すぶつかり稽古と11時20分まで続きました。
     
番付で上下がある相撲世界の厳しさを目の当たりにしましたが、横綱のぶつかり稽古でのかわいがり方(立ち上がれない泥だらけの力士を蹴飛ばしている)には「やり過ぎだ」と文句を言っている寅次郎でした。


写真左の左側の白い机は横綱審議委員席です。申し合いでは勝負がつくと飛び出して勝った力士の次の相手になる争いがあります。勝った力士は負けるまで相手を選んで稽古が続けられます。

次回は花の祭-5です。


平野 寅次郎 拝