紀行
江戸・東京の祭-28 | |
(江戸らしい祭-12) |
平野 武宏 |
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「寅さん歩」で「閻魔大王」を幾度かお参りしましたが、なかなか、そのご尊顔にはお目にかかれませんでした。「お盆の時期には地獄の釜の蓋が開く」と昔から言われ、閻魔大王が「ご開帳」されると聞き、東京のお盆の7月15日にお参りに出かけました。 閻魔大王は三途の川の所で生前の善悪を審判・懲罰すると言う裁判官役で冥土に行くときに必ず、その前に引き出され質問に答えなければならない存在だそうです。怖いお顔をしていますが、嘘をつかない人には頼りになる、ありがたいお方のようです。生前にお参り・祈願し、真面目に生きる誓いをする「閻魔信仰」もあるそうです。 あの世に御朱印帳を持参して、閻魔大王に見せ、生前の自分の信仰度を訴えるのだと、せっせと御朱印を集めていたFWAのFさんを思い出しました。 また、ウォーク大会で会った東北のおばさまウォーカー達に裁判官役の閻魔大王への対応を真面目な顔で説明していたFWAのTさん(早歩きで全国500選の道を完歩し、その足であの世にも早く逝ってしまった人)が閻魔大王にどんな対応したのか聞いてみたいものです。 でも寅次郎はまだこの世でやることがあるので、ずっと後に逝ってからのことですが・・ [閻魔まつり]源覚寺 最寄駅 大江戸線 春日駅 「こんにゃく閻魔」の別名の方が有名です。江戸の大火・空襲で焼失を逃れた、ここの閻魔大王は右目が割れて黄色く濁っています。 宝暦年代(1751年~1764年)眼病を患い、祈願していた老婆に満願成就の日、自分の片目を与えたためだそうです。老婆は感謝の印に好物のこんにゃくを断ち、閻魔大王に供えました。この言い伝えから眼病の平癒祈願に多くの人がこんにゃくを持って訪れるようになったとのことです。 堂内は暗くてお顔がよく見えませんので、前には閻魔大王の画が置いてありました。この日はお供えのこんにゃくを冷やして参詣者に振舞う、ご利益がありました。冷えていて美味しかったです。 寅さん歩 その10 健康ご利益めぐり-10 文京区-1を参照ください。 |
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[閻魔まつり]太宗寺 最寄駅 新宿線 新宿三丁目駅 甲州街道の内藤新宿にあり、江戸六地蔵の隣の閻魔堂(写真右)には江戸最大の5.5mの閻魔大王と2.4mの奪衣婆の像が並んでいます。 閻魔像は文化11年(1814年)に安置され、「内藤新宿のおえんまさん」として親しまれてきました。 「奪衣婆」とはあの世で亡者の裁きをする閻魔大王に仕える女性で、三途の川の手前にいて亡者の衣服を剥ぎ取り、罪の重さを計る役目とも言われ、又地獄行きの裁きが下された亡者を追い立てるとも言う怖いおばあ様だそうですが、宿場の遊女達からは「衣服をはぎ取る」にちなみ、「商売繁盛の神様」と慕われたとのことです。 |
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閻魔大王 | 奪衣婆 |
この閻魔大王は泥棒を捕まえたことがあり、そのニュースは瓦版のベストセラーになったとのこと。弘化4年(1847年)酔っ払いが水晶体の目玉を盗んだ時に目からのすごい閃光が出て、泥棒は身体がすくみ転落、気絶したそうです。 「つけひも閻魔」とも呼ばれ、わがままな子や泣き止まない子を食べて、その口元から子供の着物のつけ紐が垂れているとの言い伝えがあるそうです。この話は奪衣婆だという説もありますが、子供非行防止のご利益もあることから閻魔大王だと思った寅次郎です。 寅さん歩 その6 江戸六地蔵めぐり及びその10 健康ご利益めぐり-8 新宿区-1を参照ください。 [閻魔まつり]善養寺 最寄駅 都電荒川線 新庚申塚駅 四谷怪談のお岩さんの菩提寺 妙行寺の隣にある善養寺でにらみを利かせ、江戸時代は「おえんまさまの寺」として敬拝されたとのこと。 寛永寺の子院で下谷にあったが、鉄道用地拡張のため明治末年にこの地に移転。運慶作と伝わる閻魔大王は天保年間(1830年~44年)に焼失、現在の像はその後に作られたものと言われます。墓地には江戸中期の陶工で絵師の緒方乾山の墓があります。 [閻魔まつり]真性寺 最寄駅 JR巣鴨駅 有名な「とげぬき地蔵」の高岩寺の手前で旧中山道の入口の江戸六地蔵の寺で知られています。寅次郎も住いが近いので、たびたび訪れましたが、閻魔大王の存在を見落としていました。六地蔵に向かう参道右手にある「阿弥陀堂」内に鎮座していました。 |
寅さん歩 その6 江戸六地蔵めぐり及び その10 健康ご利益めぐり-25 豊島区を参照ください。 [閻魔まつり]正蔵院 最寄駅 東西線 神楽坂駅 長禄年間(1458年)千代田村で創立、田安門に移り、取り払いとなり、元和2年(1616年)現地に再興とのこと。本尊は通称「草刈薬師」、脇本尊は閻魔大王で「草刈閻魔」として知られているそうです。小さなお寺ですが、ご住職夫妻から飴をいただき歓迎を受けました。 |
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[閻魔まつり]勝専寺 最寄駅 JR常磐線 北千住駅 旧日光街道沿いにあり、「赤門寺」とも言われる勝専寺。徳川将軍秀忠や家光も鷹狩りで休憩所にしたとのこと。閻魔まつりは参道から境内に露店が溢れ、ここが一番賑やかでした。 |
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山門を入ったすぐ左が閻魔堂で口を大きく開き、我々に「喝」を入れているような表情の寛政元年(1789年)作の閻魔大王が鎮座。(写真下左)山門を入った正面は災害に耐える目的の近代的な建物の本堂です。(写真下右) |
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[こぼれ話]深川法乗院のハイテク閻魔 最寄駅 大江戸線 門前仲町駅 「寅さん歩」表題右の写真は深川法乗院の「ハイテク閻魔大王」です。「深川のえんまさま」と呼ばれ、お堂の扉を開けるといつでもお会いすることが出来ます。寛永6年(1629年)に創建され、ご本尊は運慶の作と伝えられた閻魔像でしたが、戦災で焼け復興されたのが、コンピューター内蔵のハイテク閻魔大王です。 閻魔大王の前に並ぶ19個の壺に具体的な次のご利益が明記されています。 「ガン封じ、ぼけ封じ、病気平癒、息災延命、商売繁盛、当厄消除、交通安全、家内安全、縁結び、いじめ除け、祈願成就、浮気封じ、方位除け、学業増進、怨敵退散、うそ封じ(虚言降伏)、合格成就、夫婦円満」 |
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壺にお賽銭を投げ込むと、閻魔堂内に派手な照明が付き、センサーが反応し、閻魔大王のお説教を聞くことが出来ます。 どんなお説教なのかは是非、現地でお聞きください。 |
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次回は江戸らしい祭-13です 平野 寅次郎 拝 |