寄り道、道草1
不思議な教会

  アイランドコース、境川の下流に架かる山本橋のたもとに、「片瀬ヨゼフカトリック教会」と書かれた木の看板が立っている。カトリックの教会ならば礼拝堂と十字架が見られる筈なのだが、建物はお寺そのものである。よく見ると妻の部分に十字架が描かれているので辛うじて教会であることを示している。ここを通るたび、なぜお寺風の建物の教会なのかと不思議に思っていた。おそらくアイランドコースを歩いているウォーカーも感じていることであろう。

  もとよりこちらは閑人である。「どなたでもご自由にお入りください」との案内があったので、一寸お邪魔して見ることにした。教会の敷地には三つの館が建っている。さきほどお寺の伽藍と見間違ったのが礼拝堂であった。天井は低く祭壇も質素で、カトリック教会に見られるステンドグラスもなく荘厳さはない。真ん中のコンクリートの建物が信徒館、信徒の集会場である。左側の古い木造の洋館が司祭館、神父さんのお住まいである。きょろきょろしていると、神父さんが出ていらした。怪しいと思われる前にこちらからお尋ねした。

「礼拝堂はお寺を改造したものではありません。昭和3年に建てたものです。なぜ、洋風にしなかったかって、私もよくわかりませんが、親しみやすいものにしようとしたんじゃないですか。このようなお寺風の教会は、日本には京都、長野の上田とここだけと聞いています。洋館も昭和初期の建物で、どなたかの別荘だったとのことです。二階に住んでいますが、老朽が激しく地震が心配です。脇にある灯篭ですか。あれは以前、灯篭に関心のあった神父がどこからか持って来たものです。建物でも関心を持ってくれてうれしいです」と流暢な日本語で話してくれた。

  礼拝堂はいつも開いていますから、ウォーキングの途中に一寸立ち寄って見てはいかがでしょうか。普通の礼拝堂とは雰囲気が違いますよ。
9・30 八柳 修之