寄り道・道草9 閻魔堂跡
イヤーラウンドウォーカーなら、一度は西俣野の飯田牧場やその向いにある花応院へ立ち寄ったことがあるでしょう。サイクリングロードから飯田牧場へ向かう小道の右手、一寸した林がある。この林の中に閻魔堂跡があり、ここにも小栗の墓があります。西俣野地域は小栗判官伝説関連のお寺や墓碑が多く、これもその一つです。「小栗墓塔」はいまにも倒れそうなのでセメントで補強され、案内板もありません。

藤沢市教育委員会発行の「藤沢市文化財コース」にはこう書かれてあります。
「昔、この辺りに遊行道場があり、遊行寺と相模原当麻寺を行き来する時宗僧の通り道になっていた。その途中で近隣の人々を集め地獄絵を使って善悪を説き、布教活動を行っていた。天保11年(1840)、閻魔堂が火災に遭って焼失した際、閻魔大王像を花応院へ運んだ」とある。

花応院は曹洞宗ですが、「毎年、1月16日と8月16日、地獄の釜のフタが開く閻魔さまの日には地元史跡保存会による小栗判官縁起絵と住職よる閻魔十王図の絵解きが行われる」とのことである。一度観てみたいものです。花応院に問い合わせたところ、本年は1月16日(金)午後2時からのご法要に引き続き(2時半ころ)絵解きが行われます。

さて、全国各地に伝承される「小栗伝説」、なぜ常陸国の話が藤沢なのか。それは、遊行寺を中心とする時宗、中世に流行った説経節や門付け芸などと深いかかわりがあるといわれています。ちなみにインターネットで、小栗判官・照手姫をキーワードで検索すると、67件ヒットしました。二人にまつわる話、伝説が全国各地でいろいろな物語として伝えられていることが分かる。そのうちのいくつかを挙げてみよう。
こうやってみると、東日本に小栗判官や照手姫にまつわる伝説やお墓などがないのは、一遍上人の遊行した地との関連があるからでしょうか。       (1・8 八柳)