寄り道・道草11
春とは暦の上だけのこと、節分が過ぎの寒さは余寒というそうです。
今回は寄り道ではありません。アイランドコースの通り道、江ノ電江ノ島駅前を通ります。駅前にはスチール製の車止めがあり、味気なさを感じさせないためなのか、スチールの枠の上に鋳物の鳥がとまっています。
その鳥には毛糸で編んだ洋服が着せられ、ときどき衣装替えされているのにお気づきですか。いつも、駅前を通るたびにどんな人が編んで着せているのか、想像していました。ついにその奇特な人を知りたいという衝動にかられ、駅前の売店のオバサンなら通り道だし知っているかと思い訊ねてみました。
オバサンは恥ずかしそうに「私なんです。金属じゃ寒いと思って編んで着せているんです。来月はおひな祭りでしょう。なにを着せようかと考えているところです」と言いました。
オバサンの名札を見た老人は「〇〇さんの心は、もっと暖かいねぇ」と言いました。〇〇さんは、思わず胸の名札を隠してしまいました。
鳥の名は幸せ鳥、青い鳥ですかね。 (2・6 八柳)