寄り道・道草 36
江の島弁天橋を渡ると、左側に観光案内所、その海側に北緑地という広場があり、一角にエドワード・シルヴェスター・モースモースの記念碑がある。1985年、モース記念碑の建設を進める会が建てたもので、モースのレリーフ、石の台座に日本近代動物学発祥の地の銘がある。
モース(1838~1925)は、 アメリカ合衆国メイン州の生れ、大森貝塚を発見、調査し、日本の考古学者の父として、日本史の教科書にも載るほど知られているが、チャールス・ダーウィンの進化論を日本に初めて本格的に紹介した動物学者でもあった。
このモースの業績を伝えるパネルが、観光案内所に3枚展示されている。以下、パネルの要約である。
「モースは、進化論とかかわりのある腕足類(約8億年前の古生代に出現した小さな海産動物)が、日本に豊富に生息していることを聞き、明治10年(1877)に来日した。
東大教授を引き受けるかたわら、江の島で小屋を改装した動物研究所を設立し、腕足類の一種であるシャミセンガイをはじめ、数多くの海産動物を採取、研究した。この研究所は日本最初の臨海実験所、現在、三浦にある東京大学三崎臨海実験所の前身というべきものである」
モースの臨海実験所跡は神奈川女性センター方面への道、しらす料理店Tの辺りにあったようで、お店の脇に所在を示す記念碑がある。
モースはまた、日本滞在中、全国各地を旅行し、日本の風俗習慣、生活文化に関心を寄せ、その著書「日本の家庭とその周囲」「日本のその日その日」で世界に紹介した。
「日本のその日その日」の中に、江の島の人々に好意をもち、貝や昆虫を顕微鏡で拡大して見せ、喜ばれる様子が記されているそうである。モースがスケッチした当時の江の島人々の様子、風俗はパネルで紹介されているので、覗いてみてはいかがでしょか。 (八柳)