寄り道・道草 47

西富貝塚

 藤沢市遺跡調査速報展(藤沢市生涯学習課主催)が、ルミネの市民ギャラリーで開かれていたので買い物のついでに立ち寄ってみた。展示の中で一際目立っていたのが西富貝塚遺跡の展示であった。

西富貝塚は遊行寺の北側にあり、昭和22年藤嶺学園藤沢高校の読史クラブの生徒によって発見され、これまで数回の学術・発掘調査が実施されてきた。
その結果、相模湾岸には数少ない貝塚集落であることが判り、その一部は昭和51年に藤沢市の史跡に指定されたという。

展示品には縄文時代の土器、土偶、磨石、石斧(せきふ)、石錘(せきすい:糸巻きをしながらよりをかける道具)、釣り針、石皿などの石器。藤沢市内では埴輪を伴う唯一の古墳(チンガ塚古墳)から発見された円筒埴輪の破片。奈良・平安時代の土師器、須恵器などがあった。残念ながら撮影は禁止。

西富貝塚は遊行寺の北側にあるというので、閑人は早速出かけた。北側にあるといっても道不案内である。遊行寺の関係者にお尋ねしたところ、「立ち入り禁止となっているんですが、ご熱心な方とお見受けしますのでお教えします。ですが、期待して行かれても藪ですよ」とのこと。だが藪でも行って見た。
確かに藪でチンガ塚古墳もどこにあったのか分からなかった。しかし、かえって判らない方が保存するにはよいであろう。

お寺とのお約束なので、この道や写真を紹介することはできないが、藤沢市教育委員会が立てた貝塚跡の案内板が、遊行寺北側外輪道の柵の内側にあり、外から貝塚跡の一部を伺い知ることだけできる。
案内板と遺跡調査展の説明とを総合すると、貝塚は縄文後期初頭のもの。規模は小規模、厚さは約20センチ。貝類は約30種以上、そのうちダンベイキサゴが全体の約半分、次いでチョウセンハマグリが約30%を占めている。

そのほか、貝塚からはシカ、イノシシ、イヌなどの哺乳類や鳥類、魚類の骨が見つかっている。また、貝層の下からは縄文時代の住居(敷石遺構)、奈良・平安時代の竪穴式住居跡、平地式住居跡が発見されている。
見つかった魚の骨には、カツオ、マグロ、コチ、トチザメ、アオザメ、アカエイ、などがあり、当時の人々が外洋にまで出て漁獲したと推測される。

ゴミの堆積で出来た夢の島も、何年か後の人にとっては20世紀の人々の生活を知る貴重な資料、夢の島になるであろうか。

(参考資料:藤沢市遺跡調査速報展説明文、西富貝塚案内板、いずれも藤沢市教育委員会)

西富貝塚跡の写真はお寺との約束なので掲載できないので、ダンベイキサゴの写真です。                           (3・4 八柳修之)