寄り道・道草56
水 琴 窟

 

 イヤーラウンドウォーカーの
Fさんに「大庭城址コースに水琴窟あるの知っている?」と言われた。水琴窟(すいきんくつ)、名前は聞いたことはあるが、どんなものなのか、ましてやその音色を聴いたこともなかった。

 
それは境川の上流、六会マンションを左折して、すぐの左側にご自分で建てられたかと思う道祖神と手水鉢があるお宅にあった。お宅のお庭にお邪魔して拝見、拝聴しなければならぬかと思ったが、水琴窟写真に見られるように道路側に竹の筒が突き出ていて、ご親切にも「竹の筒に耳を当ててお聴きください」との案内板があった。

 耳を当てると、「チリーン、(少し間をおいて)チリーン」という金属的な清涼感のある綺麗な音色、それはウォーキングに疲れたウォーカーにとっては、一服の清涼剤、心身ともに癒される音色であった。

 
 どうして、そのように琴のような音色を発するのであろうか。その仕掛けが知りたくなる。帰宅してから調べてみると、構造はおよそ次のようだ。

 つりがね状の甕(かめ)に小さな穴を開けて、逆さまに伏せた状態にして地中に埋めこみ、中を空洞にしておく。甕の底に開けた穴から水がしたたり落ちると、下に溜まった水に反響して琴のような妙音を出すという仕掛けである。

 古いお寺にある水琴窟ではつくばいや手水鉢の傍につくられ、水が自然に流出するのを待つ方式であったが一定の音色を保てないために、水位を一定に保つ排水用の管や、音を聴くために竹筒が設けられているという。

甕も近年、いろいろありで、素材、形状、大きさ、底に溜まる水の具合などで、ひとつとして同じ音色の水琴窟はないという。

この水琴窟、茶人でもあった小堀遠州の考案とも言われているが確かではない。ししおどし、水琴窟といい、昔の人は音に対して繊細な神経を持っていたのですね。現代社会は騒音ばかりだ。このお宅の住人もきっと風流人に違いない。水琴窟の音色を聴けば、皆さん、なにか感じる筈だ。

                      参考資料:Wikipedia (1220 八柳)