連載
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― 世界区をめざして ―
黒江 輝雄
 つい先日のこと「オランダ国際フォーデイマーチ200km」のワッペンをリュックにつけている方を見かけました。
声は掛けませんでしたが、きっと風車と美しいチューリップの花が咲き誇る道を歩いたことと思います。
そもそも、歩き方の発祥の地は、和蘭(オランダ)だそうです。
江戸の鎖国時代に唯一、西洋文明の窓口として交流があったのは、オランダでした。当時は蘭学が、医学や先進技術の代名詞になっていました。

昔の旅立ちには、お伊勢参りや諸国巡礼でも必ず番所に届け出てお墨付きをもらわなければ、要所要所にある関所を無事に通ることはできませんでした。だからお墨付きはお守り代わりの大事な証文でした。
この書付が現代語に翻訳するとパスポート(旅券)のことです。
 歩き方にもパスポートがあります。
このパスポートを歩き方に<出掛けるときには忘れずに>持って行きます。
選挙になぞらえて云わせてもらうならば、FWA(ふじさわ)は小選挙区で、KWA(神奈川)やTWA(東京)・SWA(さいたま)は地方区、北海道、四国、九州などのJWA(オールジャパン)はさしずめ全国区といったところでしょうか。

 長年にわたって旅慣れている先輩諸兄のなかには、全国区へ空飛ぶ駕篭(航空機)を利用して版図を拡げている方が大勢いらっしゃいます。
その方達を差しおいて、あれこれいうのもなんですが、歩き方と国土地理院の大先輩である伊能忠敬が、全国を巡る測量の旅に出たのは、なんと五十才を過ぎて、ご隠居の身分になってからのことでした。
このことは、私達にとって今からでも遅くないと、JWA挑戦への大きな励みになります。

 問題はこれだけではありません。
 地球一周四万キロといいますが、これは赤道をぐるっと回る距離のことでしょう。
これとは別に、地球の北から南に、縦割りで一周するコースがあってもおかしくありません。
地球一周とは一体何キロになるのでしょうか。
そのうち「地球縦断友の会」とか「北極圏を踏破する会」や「昭和基地をめざそう」などといった、ダイナミックな企画が発表されるかも知れません。
 夢は大きく持って、世界区の走破を目指して頑張って下さい。