連載

― 逍遥、散策、ウオーキング ―
   
黒江 輝雄
 「逍遥」(ショウヨウ)などというと今時は流行らない言葉ですが、レッキとした日本語です。ためしに私の手許にある国語辞典を引いてみると、「俗事をはなれて気ままにぶらぶら歩くこと。そぞろ歩き。」
との説明でした。言葉の感じからは、えらい学者先生が物思いにふけりながら散歩する情景が浮かんできます。
そういえば、明治時代の文豪で英文学者だった、坪内逍遥という人がいました。シェクスピア作品の翻訳でも有名な人です。数多くの作品を残していますが、きっと名前のとおり、散歩しながら作品を生み出していたのかも知れません。
 「散策」という言葉があります。・・・野山を一人で散策したら、・・・などと今でもたまに使われています。
これも同じ辞典で引いてみると、「ぶらぶら歩くこと、散歩」とありました。○ ○散策という名前のついた、小説家や文筆家がいたのかどうか、私には寡聞にして知りません。

 ウオーキングの例会には毎回必ず、ミスター・ウオーキングと呼ぶのにふさわしい健脚の持ち主が何人も参加されています。

 ウオーキングとは、はっきりとした目標をもった科学的・合理的な(逍遥・散策)を含めた歩きなのかも知れません。