紀行文

高地と高温下のウォーキング
弓削 玄雄
 平成19年6月アメリカを一人旅し、その折、あちこちでウオーキングを試み、高地と高温度下のウオーキングを体験した。
 高地はコロラド州南西部にあるBlack Canyon of the Gunnison National Park(ガニソン国立公園)で体験。ここは名前の通りガニソン川(ミシシッピー川の支流)の峡谷で岩の色が黒っぽいのでこの名があり、峡谷の最も深いところは850mの深さがある。私にとって37ヶ所目のアメリカの国立公園だった。この公園には6月14日午前6時にアスペンを立ち、山道を約250km走って午前10時に着いた。
 アメリカでは国立公園のVisitor’s Centerは、園内の景色が一番よいところにあるのが一般的である。ここでも峡谷の南側の崖っぷちにあって、裏側は目も眩む断崖絶壁だった。ここは標高2,500mの高地、Visitor’s Centerで薦められた2つのTrailを歩いた。どの国立公園でも園内のTrailは狭く、人の手は加わってない道が普通で、けもの道を歩いて踏み固めたような自然道が多い。うっかりすると道を間違えてしまう。
 まず、Visitor’s Centerから Rim Rock TrailとUpland Trailを続けてループ状に歩きVisitor’s Centerに戻った(3.5km)。このTrailは崖っぷちの道を除けば平凡で、出遭った人は4〜5人だった。
 次に、Visitor’s Centerから公園内の崖に沿った道路を西端のHigh Point(標高2,523m)まで20km以上も走り、ここからWarner Point Nature Trailを歩いた。
 このTrailは崖の先端までの往復(4,5km)で、崖の先端では北側に峡谷の入り口が広がり、南側のはるか下方には緑豊な盆地が広がっていた。このTrailも標高2,500m以上の高地で、結構up downがあり、当日の気温27度。もともとup downが苦手な私には、距離は短いものの相当きつかった。やはり、高地で空気中の酸素濃度が少なかったせいでしょう。出遭った人は10人以上。

 高温度下はコロラド州の西端にあるColorado National Monument(コロラド国定公園)で体験。ここはグランド・ジャンクションという町の西にそびえる標高2,000mの赤い岸壁で、奇妙な形をした巨大な岩と深い峡谷の公園。年中暑い土地なので、6月15日午後2時にホテルにチェックインし、昼寝をしてから出かけた。ここではVisitor’s Centerで薦められたWindow Rock Trailを往復(3km)した。このTrailはVisitor’s Centerから岩壁の先端までの往復で、距離は短いが必ず水を持参して歩くようにしっこくいわれた。
 午後4時40分から歩いたが、日没は午後9時頃で太陽は真上にあり気温37度。Trailは背丈くらいの潅木がちょろちょろと生えている岩盤の上にあり、熱したフライパンの上を歩いているようなもの、体感温度はゆうに40度以上あったと思う。岩盤からの照り返しが強く、顔を火照らせ、のどはカラカラ。湿度は低く、水はいくら飲んでも汗も出なかった。歩いた距離は短かったものの、歩き終わったときはぐったり座り込んでしまった。
 以上、日本では経験できないようなウオーキングを体験したので皆様のご参考までに。