連載

 ― 時速 10km ― 
黒江 輝雄
 夏のお盆休みの頃になると決まって、故郷に帰る車が高速道路で何10kmも渋滞しているという情報がテレビでも流されます。
「○○坂付近の下り車線は、現在50キロの渋滞です。」といった具合です。はじめはどの高速道路も下りが込み合います。4,5日すると今度は反対に、上りが混雑します。毎年繰り返される社会現象です。この期間は都会の人口が移動するために、都心ではいつも信号待ちでイライラさせられている交差点もスイスイと走れます。この時期をねらって、効率よく地方から都会の観光めぐりをする人達も結構いると聞きました。
 仮に、高速道路を使って、100キロ先の目的地に行くのに、渋滞に巻き込まれたために10時間かかったとしますと、単純計算で時速10キロの自動車でやっとたどりついたことになります。皮肉なことに、文明の利器の最先端の象徴である自動車と“テクシー”が同列だというような現象も起こりえます。
 ウオーキングでも俊足の方は、平均時速10キロ近くの早さで完走されることもできるのではないでしょうか。イソップ童話に出てくるウサギ(自動車)とカメ(歩人)の物語をついつい連想してしまいます。

 正月行事で恒例となっている箱根駅伝とか別府毎日マラソンなどのイベントは、一般の国道を貸切って(?)行われます。
そのうちに、高速道路の一部を利用しての“東名高速往復駅伝大会”などが開かれるかもしれません。
ウオーキングの例会も、高速道路を使っての全国大会が行われることもありえます。なにしろ何万人もの参加者をうまく捌くのには高速道路が一番です。
もしそうなったら、“制限時速無制限”という高速道路の使用条件が実現することでしょう。