連載


― 歩き方七つ道具 ― 
黒江 輝雄
 歩き方(ウオーキング)とは、ほとんど金のかからない健全で健康的なスポーツだといっていいでしょう。それでも欠かせない小道具類があります。
まずは、これから申し上げる品物類を収納する背負い袋(リュックサック)です。いろどりもさまざまですが、メダルやワッペンで満艦飾の、動く広告塔ともいえる年季の入ったリュックを背中に背負っている方をときどき見かけます。
タオルや軍手、折りたたみ傘や合羽・ポンチョなどの雨具類はまず必需品です。
夏場のホタル狩りなどのミニナイト・ウオークでは足元を照らす懐中電灯が必要です。

 水分補給のための水筒・ペットボトルの中味はその人の好みに応じていろいろです。食事タイムのお弁当もそうです。愛妻弁当あり、コンビ二で買ってきたおにぎりやサンドウイッチありで千差万別です。なかにはデザートやスープ付きの人もいます。冬の寒い日に、カップめんにお湯をそそぎ、ふうふういいながら食べている人を見かけたこともあります。

 忘れてならないのは、いろいろな協会が発行しているパスポート類です。
昔の交通手形のようなものでしょう。歩き方の回を重ねるにつれてスタンプの数が増えることの楽しみが倍加されるようです。
例会への参加回数や累積距離は増えることはあっても、減ることはありません。
しかも100回とか2000kmとか区切り、区切りでの表彰規定がありますから例会参加者の状況に応じて、努力目標値を設けることができるようになっています。どなたが考案されたのかは知りませんが、なかなか上手い方式だと感心しています。

得意げにスタンプの数を誇示されていらっしゃる方をたまにお見かけします。
時計や万歩計をたえずチェックしながら、例会で配られた地図に何やら書き込みをされている方もいらっしゃいます。きっと丹念な記録集をものにされておられるのでしょう。

 例会の参加費や集合場所までの交通費、帰りの電車賃などの物入りがありますから財布のなかには多少のお札を入れておくべきでしょう。万一のために保険証を持参した方がよいかも知れません。

 小泉さんの言葉を拝借しますが、歩き方の道中には、三つの坂があるそうです。上り坂、下り坂と「まさか」だそうです。
その「まさか」にそなえて、「転ばぬ先の杖」を用意した方がよいかもしれません。