連載


― 昔 マルキスト、今 アルキスト ―
黒江 輝雄
 学生時代を過ごした昭和20年代から30年代にかけては、世の中もいろいろと激動する時代だったと思います。
今すぐにでも社会主義革命が起こって、世の中がひっくりかえるだろうというような錯覚というか幻想にとりつかれていた時代でした。マルクスやエンゲルスの思想にかぶれた左翼系の学生が幅をきかせていました。「資本論」が唯一バイブルみたいな読み物でした。
メーデーともなると学生の分際で、いっぱしの労働者階級気分で参加したものです。かくいう私も片棒をかついでいました。・・・・

 あれから幾星霜、半世紀以上が過ぎました。世の中も随分と変わりました。私自身もいろいろな人生経験を経て、今日に至っています。
昔よく過激派が使っていた言葉もすっかり影をひそめてしまいました。
マルクスやエンゲルス、資本論などは古本屋の棚からもついぞ見かけなくなってしまいました。・・・・

 現在の私は年金生活者です。お陰で健康には恵まれているので、地域社会にも多少は貢献させてもらっています。ウオーキングの例会に参加して、元気な皆さん方にお会いできることがわたしにとって、貴重な日常生活上の糧になっています。
現在の私をひとことで言い表すならば、アルキストといっていいでしょう。