連載


― 達成感、満足感、完歩感 ―
黒江 輝雄
 ウオーキングの身体に及ぼす健康面での効用は、いろいろと説かれています。
いちいち私が説明するまでもありませんが、持病の腰痛がウオーキングを続けるうちにいつのまにか直ったとか、食欲不振が解消されたとか、規則正しい日常生活を送れるようになった等々、盛り沢山の話題があります。ウオーキングは一番手軽で、手っ取り早い健康法だといえるでしょう。

 肉体的・身体的な面だけではありません。精神衛生上もウオーキングは非常に効用があると思います。私のように現役時代を卒業して年金生活を送っているものにとって、なかなか今までのような社会とのつながりを保ち続けるのはむずかしい環境におかれています。
仕事をしている時には、いろいろの課題を与えられて、それをうまくこなした時の達成感を何度も味わいました。仕事帰りには同僚達と何度も乾杯を重ねたものです。
ところが、職場を離れて毎日が家族と一緒の生活をするようになると、どうしてもマンネリとなり、目標がなくなります。
かつて味わった充実感や達成感を忘れた生活を送らざるを得なくなります。「毎日が日曜日」という言葉もあるくらいですから。

 ところが、ウオーキングの例会はそうした中高年のノンポリ階層にはうってつけの回春剤になっています。
学生時代には皆勤賞とか精勤賞を密かにねらったものです。
社会生活時代には仕事に精を出して、同僚や上役にも認められるよう努力しました。その結果が社長賞や永年勤続の表彰を受ける事になったりしたものです。

 ウオーキングが終わって、解散式の後に受け取るIVVシートはいってみれば、ご褒美のようなものです。このシートを受け取るたびに、「よし、今度は○○○の例会に参加しよう」という活力が湧いてきます。
このシートが、日頃忘れていた日々の生活上の達成感を思い出させてくれていることに最近気がつきました。