紀行文

寅次郎ウオークの旅
― その後の足跡 2 ―
平野  武宏

長崎県 佐世保編
 2009年2月28日(土)〜3月1日(日)長崎県佐世保市で開催されたさせぼ・ハウステンボスウオーク実行委員会主催の「ヨネックス させぼ・ハウステンボス ツーデーウオーク2009」に参加しました。
この大会は朝日新聞社創刊130周年と日本ウオーキング協会設立45周年を迎える2009年 全国のウオーカーを応援する「朝日ウオーキンググランプリ」として開催される全国24大会のひとつです。「朝日ウオーキンググランプリ」は子供達が歩く体験を通じて、豊かな心や生きる力を育てる「歩育」として、将来を担う子供達に歩く楽しさを拡げていく目的もあります。対象の24大会はスケジュールが重複し、多くの参加が難しいため5回参加の健歩賞を目標にしました。また、オランダ フォーデーマーチを経験した寅次郎には大会会場のハウステンボスのオランダ風景が懐かしく参加を決めました。

2月27日(金
ホテルをバックに
久しぶりの羽田空港、拡張され搭乗手続きも新しくなり面食らいました。東京とは10度近い温度差がある暖かさ。宿泊は定額給付金の支給を先取りして、ハウステンボス入口の豪華ホテルと張り込みました。ハウステンボスジェイアール全日空ホテルは懐かしいオランダ アムステルダム中央駅をモチーフにして、部屋の窓からはハウステンボス内のオランダ風景が見下ろすことが出来、感激。
ホテル宿泊者は入場券(大人3,200円)がフリーで、早速園内を散策。明日の受付やスタート場所を確認。広い園内には各種遊戯施設やショッピング街、レストラン街があり、運河には船が運航している。ハウステンボスとは森の家の意味と勉強。オークションをやっている建物に入り参加。値段が下がり、椅子のボタンの早押しで落札者が決まる仕組み。まだ下がると躊躇しているうちに打ち切りになったり、早押しされたりして収穫なし。満開のチューリップや風車の風景を記念撮影後はホテルにもどり、ホテル自慢の天然温泉「琴の湯」で汗を流しました。近くの琴の浦に因んだ名前で鉄分やマグネシウム・カリウムを含んだ褐色のお湯。琴の浦には海軍兵学校の分校があったとか。
夕食はまた園内に入り、レストランの格安ステーキで明日に備える。夜には園内で打ち上げる花火を観賞。TVでは米国原子力空母が佐世保港に入港と報道。

風車とチュウリップ
2月28日(土)
受付は9時から、でも18キロパノラマ絶景コースのスタートは13時とゆっくり。
今日の朝一番の飛行機でも参加は可能だった。でもおかげで朝風呂と朝食バイキングを充分楽しめた寅次郎でした。大会参加者はゼッケンで園内出入り自由。コースは園内外を楽しむ4キロ・7キロコースもあり、地元の方が多く2,300名の参加者に驚く。同時開催のオールジャパン認定の宮崎大会は1,000名に満たないとの情報。
コースは園内を出て江戸時代、天明7年創業の造り酒屋「梅が枝酒造」で地酒の試飲や戦時中に小学生達が掘った約500名が入れる巨大防空壕「無窮洞」を見学できました。
「美しい日本の歩きたくなるみち500選」平戸街道を過ぎると、大村湾を挟んでハウステンボスが一望できる絶景ポイントあり。ハウステンボス内のゴールでは完歩証による抽選会。寅次郎、佐世保魚市場賞「西海の恵み干物」をゲット。後日、自宅に干物詰め合わせの宅急便が届きました。まさに恵みのプレゼントでした。
夕食では旅行社のサービスでホテルのレストランで「ホントに たらふく焼き本タラバ蟹 コース(4,200円)が1,000円でいただけると良いことずくめ。タラバ蟹食べ放題にご満悦の寅さんでした。
歩きたくなるみち500選スタンプを集めている神奈川県のウォーカーは長崎県の500選が終わると、翌日は宮崎県の大会での500選へと移動して行くのには呆れました。

3月1日(日)
帰りの飛行機の時間の関係で34キロコースのウォーカー達と一緒に17キロ山海堪能コースでスタート。さすがに健脚組みの歩き。地元女性の姿が目立つ。ゼッケンには初参加とか、昨日は4キロコースと記載。口では「初挑戦。帰りは救急車ですよ」「ジムのマシーンで時速5〜6キロをトレーニングしてきました」と笑いながら言っている長崎の女性達の逞しさを感じた。園内の非公開ゾーンを歩き、佐世保の美しい海や歴史遺産を巡るコース。このほかに3・6・11キロコースもありました。
平和記念碑が立つ浦頭引揚げ記念公園に到着。太平洋戦争が終わり昭和20年10月から昭和25年にかけて約629万人が帰国したそうですが、この浦頭にも南方諸島や中国大陸から約140万人が上陸。引揚者は約7キロの道を援護局の宿舎(現在のホウステンボス)まで歩き、手続きをして故郷に帰ったと平和記念公園に来て知りました。
浦頭引揚げ記念公園の高台からは佐世保湾に浮かぶ米国原子力空母の姿が見られた。
また、同時代に田端義夫が歌った「帰り船」の記念碑もあり。歌詞を読んで戦争の残酷さと平和の大切さを思い知った寅次郎でした。高台を降りると「引揚げ第一歩の場」との碑と朽ち果てた柱が当時を忍ばせていた。東京タワーと同じ長さの巨大な原子力空母を見ながら海岸線を歩くが、盛んに県警のパトカーが巡回。

釣り人と原子力空母
平和に釣り糸を垂れる釣り人と巨大空母のアンバランスが面白くてシャッターを切る。園内にゴールして昼食に本場「長崎チャンポン」をと、レストランに行くが行列であきらめて、近くにあった名物「佐世保バーガー」に変更。米兵の要請で作られたハンバーガーでいつも食べているマクドナルドとは一味違っていてグッド。
気温15度、快晴の長崎から気温8度 雨上がりの羽田に到着して、日本でのオランダを満喫した楽しい旅は終了。
食べ損なった長崎チャンポンはリンガーハット藤沢店で「本場長崎チャンポン」を食べられますが、一度訪れたらとお勧めの地です。

映画の寅次郎は長崎県に3回来ています。第40作「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」では島原でロケ、第20作「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」では恋の指南をした男の故郷の平戸で姉に片思いをしています。第6作「男はつらいよ 純情編」では実家の五島列島 福江島へ乳飲み子を抱えて夫から逃げ帰る女性を助ける船旅から始まります。女性にただ惚れるだけではない寅さんの素顔が伺えました。
また、第41作「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」でオランダ アムステルダムを訪ねています。日本語が通じるハウステンボスに寄ったら、きっとオランダを懐かしがったことでしょう。

                                                    平野 寅次郎 拝