連載


 ― 自然体で、自然に溶け込みながら自然に歩こう ―
黒江 輝雄
 文明社会といわれる現代では、私達の生活をとりかこむ環境はどんどんと自然からかけはなれていきます。
一日中コンクリートジャングルの建物群の一室に閉じこもって、パソコンや計器類とにらめっこをする生活を送ったり、やっと解放されて我が家にたどりついたら、そこはマンションだった。などという事例はいくらでもあります。およそ、自然界の営みとは無縁の生活を送っているのが現代人のありのままの姿ではないでしょうか。

 生活環境ばかりではありません、人間が本来持ち合わせている基本的な運動機能の一つである「歩く」という動作がどんどんと忘れさられようとしているのが現状です。
昔の人は、一里や二里などは平気で歩いて買い物に出掛けたり、用事を済ませたものです。ところが現代人は、たかだか10分程度でいける所でも乗り物を利用しようと考えます。

 最近の小学生を対象とした全国調査によると、飛ぶ・跳ねる・走るなどといった基礎体力が急速に低下しているそうです。
鬼ごっこ、かくれんぼなどといった遊びはほとんど見られなくなりました。その大きな原因は、自然と接する機会が少なくなった生活環境で子供たちは育っているからでしょう。
大人たちだって例外ではありません。知らず知らずのうちに、予想以上に自分の基礎体力が退化しつつあるようです。

 そこで、自然に回帰する第一歩として歩き方(ウオーキング)はおすすめです。何よりもまず、残された自然を求めて歩くことが、明日への活力を産み出す源泉になっていることを最近やっと気がつきました。