連載


 ― 歩きたくなる道、また来たくなる道 ―
黒江 輝雄
  私が常日頃歩きたいなあと思っている道は、次のような道です。

まず、電柱が1本もなくて視界がずっと開けていて、遠くに山並みが見える
ような里山の道です。周りには田んぼや畑があります。
森や林の中の一本道を歩くのも好きです。
このような道を歩いていると、なんとなくリフレッシュしてくるような気分になります。街中の汚染された空気ではなくて、より新鮮な呼吸ができる状況におかれている性かも知れません。
湖岸や海岸の波打ち際を一周するようなウオーキングもいいものです。ただ、砂に足がからまって、なかなか思うようには歩けませんが・・・。
また、道の片隅に、ひっそりと石の「道祖神」が残っているような素朴な路地を何気なく通りすぎるのもいいものです。そういえば、もともと「道祖神」とは道行く旅人達の安全を願う守り神であると同時に“道しるべ”の役割を果たしていたものですが、藤沢市庁舎におかれている3本の“ゑの志まのみち”の道標は文化財的価値はありますが、本来の目的である“道案内”の役目はとっくに卒業しています。

 “箱根八里”の歌でも良く知られている箱根の山の杉並木や石畳などは、是非もう一度歩きたい場所です。昔の旅人の苦労を偲びながら、今度は上り坂に挑戦してみようかと考えています。随分ときつい道のりだとは覚悟しています。

 まだ足を踏み入れた事がないのですが、世界遺産に登録されて一躍有名になった“熊野古道”も是非訪れてみたい場所です。
私が歩きたくなる道として数えあげたいくつかの条件を全部満たしているところではないかと勝手に想像しています。
不謹慎な言い方かもしれませんが、“四国八十八箇所めぐり”の道中もきっと素晴らしい光景に何度も出会えるのだろうと思っています。