犬も歩けば(1)
面白看板

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八柳修之
例会と違って健康を目的とする日常のウォーキングの行動範囲は、街・住宅地を歩くので変化に乏しく刺激も少ない。どう楽しく歩くか。逆にいえば楽しさを見つけることにあるのだが、吟行には能力、写真はいつも同じ被写体では限界がある。そこで何かないかと漫然に歩かず、視点を変えて歩いて見ることにした。
鎌倉大町に「キク薬局」という昔から営業していると思われる薬屋さんがあった。「菊」という苗字からではなく薬が効くと宣伝したいから、そう名付けたのであろう。でもここで想像しただけではいけない。好奇心、確認が必要である。
「聞く」だけでは気が引けるので目薬を買った。Mさんという苗字、古くは漢方薬を売っていたことから効く=キクという看板にしたとのことであった。その先に「回生堂」という大きな漢方薬局があった。こちらの名は「起死回生」に由来するらしいが、漢方薬は死にかかった人を甦らせることが出来るのであろうか。ここで終わりにするか。「能活は使うの(のうかつはつかうの)」、である。歩きながら「面白看板」を考えてみることにしました。

以下、実在しないフィクションのお店です。単なることば遊びなので、もし実在したらゴメンナサイです。高井商店、田貫(たぬき)商店は騙されそう。安井商店、いや只野商店ならもっといい。遅井蕎麦屋、伸田蕎麦屋、鮫田ピザ店(店主の小渕さんが亡くなり、娘が継いでいる)、古井鮮魚店、古木八百屋、今市洋装店、真貝宝石店はよしましょう。久能商店は倒産寸前。板井歯科、大板歯科、千久里医院は注射が痛そう、藪医院、真坂病院は止めた方がよろしい。(4・1 エイ
プリールフールの日)