連載


 ― 食べ歩き、見て歩き、そぞろ歩き   ―
黒江 輝雄
  「食べ歩き、見て歩き」とはいってもむしゃむしゃ食べながら歩くことではありませんし、きょろきょろと周りを見ながら歩きまわることでもありません。全国各地の名物料理を味わうツワーや名所旧跡とか歴史的遺産が残る場所をたずねながら旅行する観光旅行会社の宣伝文句であることはいうまでもありません。「そぞろ歩き」とは勿論、言葉どうりで、特に目的もなく、あちらこちらと歩き回るという意味です。

 「ウオーキングとは健康向上をめざしたそぞろ歩きである。」と定義できるかもしれません。私達が日頃お世話になっている、各協会の例会ではいろいろと趣向をこらしていて、私達が興味をそそられるような所を毎回案内してくれます。ウオーキングのイベントも単なる<そぞろ歩き>だけではなくて<見て歩き>の要素を取り入れた「観歩」という言葉さえ使われるようになりました。例会も少しずつ内容面で進化しつつあるように思います。

 歩きながら知らず知らずのうちに、昔ながらの集落を訪ね歩いて地理・歴史の勉強をしたり、学校では教えてもらえなかった実践的な実地教育の場にもなっています。また、最新の都市づくり計画にもとづいて造られた新興住宅街を歩く機会もありますが、そのような時には、従来の日本にはない、まるで欧米のしゃれたリゾート地域に迷い込んだような錯覚を感じることもあります。

 歩きながら勉強するとは、何やら二宮尊徳翁の故事を思い起こされるような気分になります。そういえば金次郎は背中に薪をかついで、歩きながら本を読んでいました。現代のウオーカーは薪の代わりにリュックを背負っています。書物の代わりにコースガイドマップを片手に歩きます。中味にはいろいろと貴重な情報が詰まっています。

例会に参加するたびに何かしら新しい事柄を学びとっているのではないかと感じることがあります。