「赤信号みんなで渡れば怖くない」といった冗談がひところはやりました。集団心理をついた面白い言葉ですが、本当に実行したら大変なことになります。
こんなことをするのはもちろん論外です。・・・・・
ウオーキングの例会では毎回のように、役員の方から出発前には注意があります。「皆さん道路はウオーカーだけのものではありません。その土地に住んでいる住民の方々の生活道路です。その生活道路を利用させてもらっているという気持ちで歩いてください・・・」と。残念ながら、参加したウオーカーの方々のなかには、まるで出走前の競走馬のように血気にはやっていて「馬耳東風」です。(大変失礼!)
「挨拶はほどほどに切り上げて早く出発しろ」という気分がありありと見られます。(またまた失礼!)
狭い道幅を塞ぐかのように横に並んで歩友と話ながら歩いている風景はよく見かけます。後ろから来た自転車や自動車などに気づかずに、後ろの歩友から道の片側によって先に通すよう声をかけられているシーンは再三あります。
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江戸時代の風俗・文化・商人道などに詳しい博覧強記な、協会のさる役員の方からつぎのようなことを教えていただきました。
ご紹介いただいた「江戸しぐさ」(越川 礼子著)という本の一節をそのまま引用させてもらいます・・・・
「七三歩き」でみんなの道路は譲り合い
「江戸では道路の七割は公道、自分が歩くのは道の端の三割と心得ていました。急ぎの用事がある人や荷を運ぶ車に譲って、邪魔にならないように気を配っていました。歩道での今しぐさは、道幅いっぱいにだらだら歩く若者や、スピードを上げて走る自転車ばかりで、お年寄りや体の不自由な人でなくても迷惑千万を通り越し危険なありさまです。」(以下略)
「年代しぐさ」を忘れない
「江戸の人たちは、歩き方ひとつでも、年代に応じた振る舞いをしていました。十五,六歳の人は駆けるように歩き、二十代の人は早歩きで歩き、三十代になったら左右をみながら注意深く歩く、四十を過ぎた人が早足で歩くと、腰を痛めるといわれました。現代人は、当時の人と比べれば、精神的にも肉体的にも二十歳は若くなっているといわれます。
どうぞ、その計算で。」
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非常に示唆に富んだ文章です。
歩き方のルールとマナーの“第一歩”ではないかと思いました。
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