連載


―  “歩(ある)く” と “歩(あゆ)む”  ―
黒江 輝雄
  「歩く」と「歩む」とは同じ「歩」という漢字を使ってはいますが、意味は違って使われることが多いようです。「歩く」とは勿論、身体を使って足を進める「あるく」という運動・動作のことです。英語でいうウオーク(walk)です。
「歩む」にはウオークの意味もありますが、それだけではなくて「進みぐあい、推移、変遷、経過」といった意味合いで使われることのほうが多いようです。
「人生60年の歩み」などといった表現が用いられています。

 生涯青春を貫き、国土地理院の大先輩であり、ウオーキングの先達として当時エゾ地と呼ばれていた北海道にまで足を運んだ伊能忠敬は文字通り日本全国を隈なく歩き通しました。だだ単に歩くだけではなくて、人生七十年の生涯事業(ライフワーク)である日本地図の原型ともなっている「大日本沿海輿地全図」を完成させました。

しかも、忠敬が一念発起、日本地図の完成を目指したのは、傾きかかっていた千葉県佐原の名家だった伊能家の養子に入り、家業を建て直した後50歳で家督を譲り、少年の頃から関心が深かった天文観測と暦学を学んでからのことです。
(この一節は童門冬二著「伊能忠敬」より引用)

 人にはそれぞれ異なった生き方、楽しみ方があります。
自分が一度歩んできた人生の道程は変更することはできません。
これから先のことについてはあくまでも本人が「歩き進んで」いかなければなりませんが、本人の決心次第で如何様にも「歩み」を変えることはできます。
 ・・・例会に参加して歩きながら、自分の今までの歩みが果たしてどんなものだったのだろうかなどと自問自答することもあります。・・・・
                                           以 上


(前回の解答): 前回の歩き方事始め(68)―ウオーキングで頭の体操“鶴亀算”−
 の答えは「Aコースの参加者は392名」でした。