ウオーキングと健康スポーツ医

弓削 玄雄
 平成20年、百才以上の高齢者が3万6千人を超え、その6割以上が寝たきりや認知症にかかっている。今後ますますこのような高齢化社会になってゆくので、疾病を持つ高齢者が増え、医療費の増大が問題になっている。そのためなるべく病気にならないようにと予防医学が注目を浴びている。その中でも有酸素運動の1つであるウオーキングは肥満、高血圧症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の予防と改善に非常に効果があるといわれている。

 厚生労働省は生活習慣病の予防と改善のために『一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬』という標語を掲げている。しかし、運動能力は20才から1年に1% づつ減少し、70才で50% 減少するといわれているので、高齢者に激しい運動は向いていない。その点、ウオーキングは@運動強度の設定がしやすい、A全身の筋肉を使用する、Bいつでも実施できる、C安全性が高いということで、運動の第一選択肢になることが多い。
 健康でありたいと願う人々が増すにつれ、地域社会において運動への関心が高まってきている。そのために運動を行う人に対して医学的診断・メヂカルチェック・運動処方、運動指導者等に対しては指導助言を行い得る医師を養成する必要があった。
 日本医師会認定健康スポーツ医制度は平成3年(1991年)から始まり、前期・後期 21単位の講義を受講した医師に資格が与えられる。資格の有効期間は5年間で、更新するためには3単位の再研修を受けねばならない。

 約3年前に引退してから、旅以外はウオーキングが日課(仕事)になっている(平成19年度210回、2787km、平成20年度204回、2580km )。このウオーキングに少しでも役立つのではないかと、日本医師会での講習を受け健康スポーツ医の資格を取ることにした。
 第21回(平成20年)健康スポーツ医学講習会は、「前期」平成20年10月18日(土)・19日(日)、「後期」平成20年11月22日(土)・23日(日)に日本医師会館大講堂で開催された。
 旅とウオーキングの合間を縫って、上記の平成20年の前期と後期の講習会を受講して修了し修了証を受領した。すぐに認定健康スポーツ医の申請手続きし、平成21年1月27日付けで健康スポーツ医に認定された。
 平成21年6月1日現在、神奈川県の医師会会員数は8340人、この中で432人の医師が健康スポーツ医の資格を持っておられるが、県内のウオーキングの例会でお会いしたことはない。
「湘南ふじさわウオーキング協会」には、江尻忠正さん(元東京オリンピック・50km競歩選手)や高田栄さんのようにウオーキングの生理学を勉強され、造詣の深い方がおられるので、私は医療の面でのお手伝いができればと思っている。