連載


―  歩けば見えてくる  ―
黒江 輝雄
  川沿いの往来が激しい表通りではなくて、人があまり通らない裏道を歩くことが
あります。いわゆる生活道路で、勝手知った住民の方々の専用道路のような所が
あります。人通りも少なく普段着の生活状況が垣間見えます。
このような場所を歩くと何とはなしにホットした気分になります。

 田園風景がつづく里山周辺を歩くと、都会の住宅密集地帯とは違って、広い屋敷が
並んでいるところが多く見られます。そのような家々の表札では同じ苗字の家がつづ
いています。都会では見られない光景です。
きっと集落の住民の多くが親類縁者なのでしょう。
人々は苗字ではなくて、名前で呼び合っているはずです。
郵便配達人もその辺は心得て仕事をしていることでしょう。
家の広さや位置関係それに門構えなどから判断して、どの屋敷がいわゆる本家で
どちらが分家かが何となく判るような気がします。
 
 ほとんどの市町村には、本町とか中町、あるいは仲町という町名があります。
このような所はほとんど例外なく、かつてはその町の中心地や繁華街だったところです。
場所によっては今でもそのような位置を占めている所も多いでしょう。
本町通りとか中町通りとはいわゆるその町の“銀座通り”のことを意味しています。
 
 地名も調べてみるとなかなか面白いものです。
○ ○沢、○○沼、○○谷、○○坂などなどその土地の地形や状況を表しているようです。
藤沢、鵠沼、清水谷、善行坂等々きっと地名の由来をたどってみれば興味ある事実が
見えてくるでしょう。

歩けば見えてくるものが必ずあるものです。
“観歩”しましょう。