紀行

「カトリック修道院 」

 

    川澄 武雄
 
ことしの夏は、日本列島が連日の酷暑に見舞われている。藤沢も暑い。この灼熱の下を歩いているうちに、突然夢かと見まがう光景に出逢った。夢、幻じゃないよ、ここは藤沢・善行だよと何度も自分に言い聞かせた。
カトリック修道院「聖心(みこころ)の布教姉妹会・本部修道院」である。

内口門
 がっしりした門を入ると、左右は濃い緑で大樹が続き、その間を道がまっすぐにのびて正面に和風の内門が鎮まっている。シスターが私達の来訪を待っていて下さった。内門も築地塀もお寺の作りなので、中世のカトリック修道院をイメージしていると、まるで戸惑ってしまう。
この緑の空間で暑さがすでに飛んでしまっていた。

 
聖口堂
内門を入ると、私達にはなじみの清雅な太子堂がある。法隆寺の夢殿だ。
八角堂の屋根には宝珠の代わりに十字架がある。この異空間にいると誰もが驚き、しばらくは茫然と立って見とれているしかないだろう。日本の修道院なので、建築時(2001年)に和風コンセプトにされたそうだ。


聖堂内部(案内書より)
 聖堂の中は意外に広く明るい、そしてやさしい雰囲気である。八角堂の周囲の壁面がガラス窓で、どの面からも木々の緑が見える。ガラス窓の内側に障子がはめられている。天井、壁など、寺院と変わりがない。座り心地がいい椅子が並んでいて、その中には聖書や賛美歌が納められていた。
 正面の壁を覆うようにパイプオルガンが立っている。左側に聖母子像。
上から金色の箱が吊り下がっている。聖櫃である。キリストにゆかりの何ものかが収められている。
(この部分は撮影不可のため案内書をスキャンさせていただいた)

聖母子像

 総長のシスターが、修道院の由来をお話して下さった。
聖心(みこころ)の布教姉妹会はカトリック修道院で1920(大正9)年秋田市においてヨゼフ・ライネルス師によって創立された。1938(昭和13)年に本部が現在の藤沢市におかれる。修道院は北海道から沖縄まで全国にあり、社会福祉事業として老人ホームや保育所、教育事業などを運営している。藤沢市みその台の聖園学園もその一つである。活動域としては国内の他、東南アジア地域まで含まれる。

ハーブ(一部)
 聖堂の中は、とてもやさしく静かな空間で、いつまでも離れがたい気持になる。シスターらの祈りの場所であり、信仰を深められる場所であろう。
聖母子像もパイプオルガンも100年以上前のもので、いずれもドイツからもたらされたものだとか。
 パイプオルガンの音色を聞きたいという私達の希望に、シスターは皆さんが讃美歌「慈しみ深き」をご存知でしたら歌いましょうか・・といわれた。フィリピン人のシスターがオルガンをひかれ、50人程がしっかりと歌った。
パイプオルガンの伴奏で合唱して、みんな本当に幸せそうだった。

聖堂の周りも、とてもステキだった。
築地塀・・奈良の雰囲気!

聖句などが彫られた時鐘
時鐘にあわせて滝に水が・・
橋掛かりのような・・