紀行文

エベレスト街道を歩く(1)
池 内 淑 皓
11月1日(月) 朝目が覚めたら外は一面の銀世界。このホテル付近から上は雪景色で、ナムチェの村には雪が降っていない。お茶をしながら天候の様子を見る。ホテルのオーナー ソナムさんが、天気は回復してくるから大丈夫と云ってくれたので出発の準備をする。
 今日のトレックは、サナサからクムジュンに出て、クンデピーク(4,238m)に登る予定であったが、雪と神さんの調子を考えてクムジュン(3,780m)滞在をあきらめて、ホテルエベレストビューで食事をしてナムチェに帰る事にした。
 ホテルからナムチェの町を外れ、大きな自然石に経文が彫られた角でエベレスト街道と分かれる。左に道をとればプルテからターメに行く道だ、私達はシャンボジェ飛行場めがけて目の前の尾根を直登する。
この尾根道は、村の中学生がシャンボジェにあるヒラリースクールへ通う通学路でもるから、きれいに整備されている。道しるべはないが迷う事はない。
1時間半程辛抱すればやがて平坦地となり、シャンボジェ空港の端に出る、風見の吹き流しが良い目印となる。
  
雪の日のシェルウィカンバホテル 雪のシャンボジェ空港(中央の平坦な斜面)
   
この空港は砂利敷きの滑走路で狭く、セスナークラスしか降りられない、チャーター専用の空港となっている。
今日は一面の銀世界、飛行機は来られないだろうから、堂々と滑走路を横切ってシャンボジェパノラマホテルを目指して歩く。 
 10:00 雲が切れ、太陽が時折顔を出してきた。白銀に輝くクーンビラ山(5,761m)が神々しい。
シャンボジェパノラマホテル着。すぐ背後の丘に登ってみる。空は晴れては来たが雲が切れない。エベレストも見えない、時々アマダブラム(6,812m)が顔を出すがなかなかガスが切れない。
パノラマホテルからのクーンビラ山(5,761) 雪のシャンボジェパノラマホテル
 
 ほとんど平坦な盆地の中を15分程歩くと、ホテルエベレストビユーに到着する。このホテルは日本のヒマラヤ観光開発鰍フホテルで、部屋のベットの中からエベレストを見ることの出来る最上級のホテルだ。
私はこのホテルのテラスに陣取って、昼食を取りながら雲が切れるのを待った。
南を向いて、右からタムセルク(6,623)、アマダブラム(6,812)、ローツエ(8,516)、見えないEVと、左クンビラー(5,716)が時折雲の間から顔を見せてくれる。
  
ホテルエベレストビューから タムセルク山(6,623m) 
 左からエベレスト山(8,848m) 右 ローツエ山(8,516m)
  
11時、12時、13時、時々エベレストが顔を出すが、最後まで雲は切れなかった。14時、これ以上待つとナムチェに帰れなくなるので後ろ髪を引かれる思いで帰路についた。

 11月2日(火)快晴 今日は下山の日。疲れもあるし、今後の行程(ポカラに出て、アンナプルナ(8,091m)を見に行く)を考えて、ルクラまで2日間ポーターを雇う事にした。
ホテルのソナムさんに頼んで手配してもらった。今度はビレー君と言う屈強な若者が来てくれた。料金は行きと同じで一日Rs1,000。 別れの朝、ソナムさんご夫婦と記念写真を撮って、チョルクンの丘に立ち寄り、最後のエベレストを心ゆくまで心に刻んで出発する。登りと比べ下りは早い。アッと言う間にトップダラを過ぎ、10時半に吊り橋を渡る。モンジョにて昼食の”パスタ”を食べ、パクディンには14時過に着いた。
  
シェルウィカンバホテルのオーナー ソナム さん
     
ナムチェを去る日 後方の山はコンデリー(6,187m)
   
ナムチェ チョルクンの丘から見た エベレスト(左)とローツエ(右(8,515m)) 
続く