紀行文

ラオスを歩く(1)
2011年6月13
池 内 淑 皓
ルアンパバーンのメコン川  川畔のレストランで朝食(奧はイタリア人の旅行者)
町のメインストリート(植民地時代の建物が残る) 
町の裏通り(静かで落ち着いた雰囲気が良い)
ワットシェントーン(ラオス寺院群の中で最高の美しさを誇る)
ワットシェントーン壁のモザイク絵 早朝の托鉢
修行僧と 托鉢
日が落るとお土産屋さんが店を広げる、商品は全部手作りだ
 
 次なる訪問地はラオス北部に位置し、日本の京都と云われる「ルアンパバーン」(旧名称ルアンプラバ-ン)を歩いた。
古都ルアンパバーンは、ランサーン王国(1353年タイ系ラーオ族のファーグム王がこの地方を都と定め上座仏教を統治の原理として導入した王国)発祥の地であり、そして最後のラオス王国が王政を廃止した場所でもある。
敬虔な仏教徒が多く、寺院が集中するこの町は、他の町と比較にならない規模で、黄色の法衣を纏った僧侶達が、早朝未だ暗い内から一列になって托鉢をしている。人達は道端に跪き水で清め喜捨をする。昔から毎朝変わらない風景であると言う。
 ラオスは、19世紀初頭フランスの植民地であったために当時の建物が今に残る。小さな町全体が古き良きラオスの姿を止めているとして、この国で初めて世界遺産に登録された。メコン川とナムカーン川に挟まれた洲に沿って町が作られ、その恵を全身で受け止めて静かに息づいている町だ。
 ビエンチャンから40分程でルアンパバーンの空港に着く、乗り合いバスで町に入ってお目当てのゲストハウスに宿を取る。ここはヨーロッパから、特にフランス人のツーリストが多く訪れているので、宿泊には事欠かないし予約も不要だ。
 1月31日(火)早朝の古都は静かだ、川畔のレストランに出てゆっくり朝食を取る。フランスの影響もあってかパンが旨い。街角でサンドイッチ(カオ・チー・サイ・クアン)とタム・マークフン(細切りの青いパパイア(マークフン))にトマト、キューリ葱と魚醤で味付けしたサラダとコーヒーで朝食。
 山から川面に向かって朝霧が流れて来てしっとりと町を包む、10時頃になると霧も消え、じりじりと暑くなる、山の端に太陽が沈むとまたぐっと涼しくなって、夜市が道一杯に店を広げ、遅くまで賑わう。
 寺院はたくさんあるが、最も美しい「ワットシェントン」を紹介してみよう。
1560年セーターティラート王(1560年の王で、王国が最も隆盛を極めた時代)によって建立された寺院で、王政が廃止される1975年まで王室専用の寺院であったラオス寺院群の中で、最高の美しさを誇る。
本堂は典型的なルアンパバーン様式で、優雅にしかも大胆に湾曲した屋根に良くその特徴が出ている。屋根の傾斜はビエンチャンで見た寺院より緩やかで、幾重にも重なるような屋根のデザインが特徴、外壁も金の彫刻で装飾され、美しいモザイクタイル絵が壁面に散りばめられている。
 翌日ルアンパバーンの町が一望出来る高さ150mの丘にあるプーシー(仙人の山)に登ってみる。メコン川と支流のナムカーン川に囲まれ、箱庭のような小さな町が眼下に見える。周囲は山と森林で緑一色だ。メコンの流れを前に、山稜の彼方に沈む夕日を眺めていると、悠久の深い思いに駆られる良い所だ。
 夜、国立博物館でラオス民族舞踊があると云うので見学した。ほとんどタイ、カンボジャで見かける舞踊と変わらず、ラーマヤナに題材を取った踊りは、インドシナ半島共通の舞踊と感じた。
                              ラオスを歩く(3)に続く