連載
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― 旅は道づれ世は無情 ―
「歩き方」が「旅」なのかといわれそうですが、ツーデーとかスリーデーとかいって、家を空けることもありますし、「さあ出かけよう」といった心構えは同じものです。
「無情」といいましたが、非情とか薄情とかいった意味ではなくて、ここでは「自分の歩きは、自分でしか直しようがない。人様は関係がない。」といったようなことで使わせてもらいます。
昔の旅は一人旅が多かったようですが、たまにはお伊勢参りとか講中の集まりとか寺子屋の修学旅行などもあったでしょう。
今も昔も集団旅行の楽しさは変りません。
おしゃべりも、聞くとはなしに耳に入り込んできますが、孫自慢、お国自慢、仲間自慢などが多いようです。なかには大変難しい時局談義をながながとしている人もあります。聞き役に回っている相手方は迷惑そうに、ただ合い槌を打っているだけというのをよく見かけます。
歩き方のお仲間は、男女を問わず功なり名を遂げたご隠居さんの身分の方が大半です。
たまには色恋沙汰なんかも聞こえてくるのでしょうね。
そういってはなんですが、次には別の所に旅立とうとされている方々もいらっしゃるはずです。
人生経験が長い分、自分なりの考えに身も心も固まっている方が多いようです。
歩きもかなり個性的です。
自分のことは棚に上げて他人様のことを、とやかくいわせてもらいます・・・
考え事をしているかのように地面ばかり見ながら歩く人、やたらと周りの人が気になるようでキョロキョロしている人、マラソンや競歩と勘違いして人を追い抜いて先頭に出たがる人、突っかけ草履よろしく地面にめり込んで音をたてながら歩く人、膝が早く折れてガニマタ風の人などなど。
やむを得ません、齢を重ねすぎたので手直し(足直し?)が効かなくなった人たちの集団なのですから。
なかには、膝を曲げずにすっと前に出し、背筋をピンと伸ばして、腰を左右に振らずに、前後に浮かしながらスイスイと歩くカッコいい方も見かけます。
あなたのように。(徒歩歩歩、歩・・・笑)
ついつい筆がゆっくり歩かずに、走り出してしまいました。お叱りを受けそうです。
硯の墨もそろそろ乾いてきたので、この辺で筆をおかせてもらいます。
―おわりー