連載


 ― 「人権蹂躙」、「跳躍」 ―
黒江 輝雄
  人権蹂躙(じゅうりん)とか跳躍(ちょうやく)などという言葉はいまでもよく使われています。いずれも漢字の部首でいうと「足偏」(あしへん)が用いられています。
「蹂」とはふみにじるという意味です。「躙」も同じく足でふみにじることをいいます。「跳躍」の「跳」はおどる、とびはねるという意味です。「躍」も同じくおどるという意味です。同じ意味合いの漢字が重なってできた言葉ですから非常に重々しい意味合いを感じさせる用語だと思います。
我々ウオーカーが日頃お世話になっている<道路>も“みち”と“みち”が重なってできた言葉です。

 そもそもウオーキングとは足を使って運動することです。
そこで、今回は手元にある新修漢和大字典の中から「足偏」に関係がある漢字を拾い集めてみました。調べてみるとなんと全部で163文字もありました。
漢字とはもともと表象文字から発達した表意文字ですから、これらの漢字はいずれも語源的には「足」から出発したものでしょう。
 
 警察用語で「・・・アシがつく・・・」といいます。犯人の手掛かりになる物証を足で探し回った結果みつけたということでしょう。
「彼は長距離ランナーで、今回の大会で前人未踏の新記録を作った。」などと新聞に書かれることがあります。「距」とは鶏のスネにあるケヅメのことです。
「踏」はご承知のとおり地面を足でふむということです。
ウオーキングの大先輩である伊能忠敬は、生涯のライフワークとなった日本地図の完成のために、生涯の残り半分の人生をかけて取り組み、日本全国をくまなく回り、文字通り立派な足跡(蹟)を残しました。「跡」も「蹟、」も「あしあと」のことです。

 ウオーキングの例会は、ますます盛んに行われるようになりました。いろいろと工夫された面白いコースも紹介されています。
健康増進のためには、躊躇(ちゅうちょ)しないで積極的に参加する心がけが大事でしょう。