紀行文

寅次郎ウオークの旅
― その後の足跡 12 ―

長崎県 長崎編-2

平野  武宏
ウオーキングの地方大会を歩き回っていたら、映画の寅さんファンの妻の友人から「平野寅次郎」と命名されてしまいました。
生涯の三大目標として定めたオールジャパン ウオーキングカップ(47都道府県大会)完歩(2006年)、世界最大のオランダ フォーデーマーチ完歩(2007年)、地球一周四万キロ完歩(2009年)を達成した「湘南の寅次郎」、次の目標は時間とお金の許すまま、気ままに歩くことを楽しもうとしましたが、やり残した関東甲信越マーチングリーグ(KKML)の完歩と新たなシリーズもの登場に挑発されて、明治維新の頃に世界に向けて開かれた七つの港を巡る「日本開国セブンハーバーズリーグ」と坂本龍馬の足跡を巡る「龍馬グランプリウオーク」を追いかけることにしました。
お暇の折にご笑読ください。
  
 
 2011年11月5日(土)〜6日(日)長崎ベイサイドマラソン実行委員会、長崎さるく・女神大橋ウオーキング大会実行委員会主催、長崎市陸上競技協会・長崎歩こう会主管の「2011長崎ベイサイドマラソン&にウオーク」参加しました。
この大会は日本開国セブンハーバーズリーグ及び坂本龍馬グランプリウオーク認定大会です。毎年、FWA例会と重なって参加できませんでしたが、今年は大会日程が11月に変更になり、すぐに申し込みました。日本開国セブンハーバーズリーグは7つ目の港です。またマラソンと一緒に行なわれるウオーキング大会にも興味がありました。
続編では2009年2月に佐世保を訪れていますので、長崎県は2回目となります。

11月4日(金)

誕生日(誕生日に暗殺)が坂本龍馬と同じで、もしかしたら生まれ変わりかと勝手に思っている湘南の寅次郎、長崎で活躍した龍馬に会えるとワクワク気分で第1回龍馬グランプリウオーク大会で品川龍馬会の女性と交換した竜馬の帽子をかぶって羽田を飛び立ちました。
会場に近いホテルに到着、早速ホテルのフロントで長崎チャンポン・皿うどんの美味しい店を紹介されて遅めの昼食。大会会場の長崎水辺の森公園を下見。
夕食は途中で見つけた海鮮の店で地魚がたくさんのった「地げ丼」。

11月5日(土)(5・10・20キロコースあり)

 早朝の散歩で雨が落ちてきてホテルに戻り、天気予報を見ると雨の確立100%。
やはり長崎は雨なのか・・と雨支度で会場へ。マラソンは6日のため、会場はウオーカーのみ。事前申込していた船で伊王島に渡る「伊王島教会・灯台周遊コース 10kmに参加。200名の事前申込者はファミリーや一般の方が多く、女性が目立ちました。長崎港から約19分で伊王島に到着。今は伊王島大橋が開通し、陸つづきになったリゾート地として賑わう島とのこと。

雨は本降り、海岸線を歩くと風もあり。晴れていれば素晴しい景色なのにと残念がる。灯台までは上り道、周囲13kmの小さな島なのに集落毎に教会が目に付く、お墓も通常の墓石に十字架が金色で書かれているクリスチャンの島。キリスト教はフランシスコ・ザビエルにより伝えられ、長崎は日本における布教の中心。繁栄から弾圧、250年もの潜伏から復活の歴史は世界遺産登録への取組みが進められています。妻が敬虔なカトリック信者でいずれはお世話になるつもりの寅次郎には関心がありました。

島のゴール手前で雨はあがり、ゴール後はリゾート温泉に入れるのだが、船の時間は今を逃すと2時間待ちとのことで、あきらめて船に乗って会場に戻る。会場ではお汁粉と五島手延べうどんの接待を受けて、ホテルでぬれた身体を温める。
夕食は大会に参加していた同級生の友達(福岡在住)の紹介で一緒に路面電車に乗って新大工町まで行き、原爆の影響を受けず、かっての町屋風情をそのまま活かした料亭で新長崎和食の豪華版。新鮮な魚や珍味を味わう。その友達は一緒に10kmコースを歩き、声をかけた人。このように歩く友達の輪がどんどん広がっていくのがウオーキングでの楽しみのひとつです。

11月6日(日)(8・15・28km)

 早朝散歩は近くの出島オランダ商館跡へ。でもホテルを出るときには又雨が降り出す。
長崎は今日も雨〜だった。マラソンは2・10km(中学生以下は不可)・ハーフ(高校生以下は不可)で男女別、年代別に分かれている。2kmは小学生の親子もあり。
寅次郎はウオーキング 坂本龍馬コース15kmを選択。ウオーキングの前にハーフ・10kmがスタート。アナウンスによると合計で約3,000名。2kmは大会誌名簿によると約1100名。ウオーキングは合計で約1,000名。やはり走ることの方がどこも全世代に人気のようだ。2kmマラソン初参加の若い女性に聞くとウオーキングのことはあまり知らない様子だった。

段々強くなる雨にも負けず、朝の散歩で訪れた復元整備が進んでいる出島(1636年建造で開国まで218年間、日本の唯一の西洋に開かれた窓)、新地中華街、眼鏡橋(わが国最古のアーチ型石橋)や歴史ある建物、立派な教会を通過するが、雨のため写真を撮る状況ではない。雨が流れ落ちて来る坂道と階段が始まり、チェックポイントの西坂公園は日本二十六聖人殉教の地(豊臣秀吉により処刑された場所)。
初長崎入りした龍馬の宿舎所の福済寺から長崎の総氏神様の諏訪神社の階段を下りる。
諏訪神社は秋の大祭「長崎くんち」では賑わうとのこと。寺町から亀山社中跡までは竜馬通りと名づけられた急坂(階段)が続く。龍馬や仲間達が歩いた道かと思いを馳せて息を切らせて上る。亀山社中は龍馬とその同志が結成したもの。長崎の町が見渡せる亀山社中跡に到着する頃には雨はあがり、記念撮影。

ここから次のチェックポイントの風頭公園まではまた上り。雨は上がったが、今度は霧が出てきた。公園の高台に立つ坂本龍馬像は霧に包まれていた。急激な階段を下り、江戸時代の丸山遊郭の建物 史跡料亭花月の前を通過。龍馬達はこの辺で飲んであの階段を上って亀山社中に帰ったのかと感心する。
これで坂道は終わったかと思ったら居留地時代に外国人が歩いたオランダ坂を下り、現存する日本最古のゴシック建築様式の木造教会の大浦天主堂、長崎市内最大の観光地のグラバー園まで上り、港を見下ろす石畳のどんどん坂を下る。側溝を流れる水がどんどん速くなることから名がついたとのこと。すっかり晴れ上がり、日差しが出てきた頃にはゴール。又お汁粉と五島手延べうどんの接待。さらにはボランティア高校生からの地元うどんも。長崎の坂・階段を堪能したウオーキングでした。

ゴールで日本開国セブンハーバーズリーグ完歩のマスターウオーカー証とバッチ・ストラップ出島人形をいただく。坂本龍馬グランプリウオークは今回で11回目。
10月の港よこはまツーデーマーチで銅賞(10回参加)となり、龍馬が描かれたグラスをいただいている。私の龍馬ウオークはこれにて打ち止め。龍馬の帽子はお役ごめんとなったため、ゴールにいた龍馬会会長に差し上げてきました。

映画の寅次郎は長崎県に3回来ています。第40作「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」では島原でロケ、第20作「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」では恋の指南をした男の故郷の平戸で姉に片思いをしています。第6作「男はつらいよ 純情編」では実家の五島列島 福江島へ乳飲み子を抱えて夫から逃げ帰る女性を助ける船旅から始まります。
女性にただ惚れるだけではない寅さんの素顔が伺えました。
寅さんが坂本龍馬をどう思っていたかはさだかでありませんが、家を飛び出し全国を歩き回った点・家には理解者で力になってくれる姉又は妹がいた点は通じるところがあります。但し、家を飛び出した原因は大きく違いますが・・
                               平野 寅次郎 拝