紀行文

スリランカを歩く(3)
2011年12月12日
池 内 淑 皓

朝のバッドウラ駅構内
(シンハラ語、タミル語、英語併記)
時刻表、 8時50分キャンディー行き 1番線から出発
一泊したウバホテル(Rs1000=700円)正面お母さん、右お嫁さん バツドウラのメインロード 
町の魚店  まぐろ、かつおが無造作に輪切りで売っている  ドウンヒンダの滝(58mの落差)
ムティヤンカナビハーラ(仏教寺院) この日の夕食メニユー
三角形:エラワルロティー(カレー味で炒めた野菜が包んである)
丸 形:ロティー(中に玉葱青唐辛子を入れて焼くカレー味)
左のお椀に入ったものはエッグホッパー(目玉焼き)
[山岳列車に乗る]

7月26日(火)朝8時少し過ぎて終着バッドウラ駅に到着、明日また列車でキャンディーに向かうから、駅に近いゲストハウス(Rs1,000=700円)を選ぶ、荷物を置いて町を探検かたがた食堂を探す。かつては紅茶の集積地として賑わったと言うこの町、今は静かに山間の中に息づいている。
 この町の見所の一つに落差58mのドウンヒンダ滝があるので訪ねてみる、町からバスで15分、滝の入口で降りて歩いて谷に向かう、日本の林道とよく似ているのには驚いたし、樹種も同様な木々が多く丹沢の尾根を歩いている気がした。
一汗かいて、20分程で滝がよく見える展望台に到着、涼しい風が頬をよぎる、茶店でお菓子を買って小一時間程ゆっくりする、ここでもビールは置いてなかった。
 夕方宿の近くにあるムティヤンカナ ビハーラ(仏教寺院)を訪ねる、この町で一番大きな格式のある寺院だという、広い境内には二頭の像が飼育されている、神像かもしれないが人寄せの道具のような感じがする。
お参りしていると僧院から私を手招きしているので、立ち寄って中に入る、修行中の子供達を引き連れ老僧が英語で私に色々質問してくる、私が答えると老僧は大きくうなずきまた質問してくる、これを繰り返す、子供達はただ老僧を尊敬の眼で見つめ続ける。だんだん老僧は自分の尊厳さを、子供達や周りの修行僧に見せつけるために私を呼んだような気がしてくる、私は何となくしらけた気持になってきて僧院を退散した。
 この国では、英語を話せることがステータスで主要な役職に就ける、目に見えないカーストが存在している。シンハラ人の紳士達は皆英語を話す。タミル人はあまり英語を話さず、タミル語が公用語で、主要な場所ではシンハラ語、タミル語、英語の表記となっている。
 
エッグホッパー:ココナツミルクに
卵を落として焼いたもの
ストリングスホッパー:野菜入りカレー味のビーフン
ゆで卵を乗せてくれた 箸は日本から持ってきたもの
セイロン紅茶の産地: 最高の品質を誇るヌワラエリアの茶畑 ウバの茶畑
高原列車は茶畑の中を、時速20km程の速度で走り抜ける
仲良くなった鉄道公安官(ガルフィラ ヌガリヤダさん左) キャンディー駅にて
 
 7月27日(水)バッドウラ発キャンディー方面、コロンボ行き列車は朝8:50発、二等車は付いているが全車両自由席だという(料金はキャンディーまで2等車で(Rs171=120円)、改札口前にリュックを置いて露店で朝飯を仕入れる。エッグホッパーとストリングホッパー(卵焼きに春雨の様なウドンを挟んでカレー味をつけて食べる)とお茶。スリランカのお茶もネパール同様甘すぎる、「砂糖を入れるな」と言っても甘くて閉口する。
 今回、旅のお目当ての一つは、高原列車に乗る事。ディーゼル機関車は喘ぐように茶畑の中を走る、2,000m級の山々が聳える尾根筋を、山腹を、縫う様にゆっくり列車は走る。列車に乗るときバッドウラは快晴であったが、次第に雲が出て来て、山の峰にさしかかると、やがて雨が降り出してきた寒い、ヌワラエリア一帯は最高級のセイロン紅茶の産地なのだ。
 7月末の今、インド洋から吹いてくる西からの湿った貿易風が山岳地帯にぶつかる、一方ベンガル湾から北東の乾いた風がこの尾根筋で衝突する、霧と雨が渦巻き、適度な気温がお茶の生育に最適なのだと言う、時速20km程の早さで走る列車で通り過ぎるとよく分かる。イギリスがこの国を植民地とした時、紅茶を運ぶために敷いた鉄道だからお茶畑の間をぐにゃぐにゃ曲がって走り抜ける。
この列車にはビュフェが付いていた、サンドイッチ、ロティー(あげもの)、キリバット(ご飯にカレーがかけてある)等が食べられるし、売り子が籠に入れて売りに来る、ビールは絶対に手に入らない。
またこの列車には、鉄道公安官が乗っていて、しきりに日本人の私の所に来る、親切に車窓の風景を案内してくれたり、日本の事を聞いたり、祖国の事を話したり、話題は尽きなかった、列車を降りるときに日本から持ってきた富士山と新幹線の絵はがきをあげると、感激して喜んでいたのが印象に残る。
16:30分ペーラデニアジャンクション駅で列車を乗り換えて、キャンディーには17時に到着した。
                                続く