紀行文

スリランカを歩く(4)
2012年01月11日
池 内 淑 皓

GHのオーナー ビートライスさんご夫婦 奥さんと
キャンディーの町 象も荷物を運ぶ
キャンディー湖
夕暮れのキャンディー湖 対岸は仏歯寺 彫金の親父さん 「ガネーシャ」を彫る
クイーンズホテル キャンディー湖畔にて
キャンディアンダンス  ドラムの踊り
 
[キャンディーを歩く@]

 キャンディーでの宿泊は、地球の歩き方のガイドブックを片手に、湖畔のデボンレストハウスに目星をつけてタクシーに乗る。 アレレレ! タクシーはレストハウスを通過してその奧にある民家に連れて行かれた。
玄関には「The Lake Round Guest House」の看板が掲げられている。すぐ奥さんが出て来て部屋に案内された、部屋は一部屋だけで民泊(一般家庭に宿泊する事)のような感じがする。一泊Rs2,000(1,400円)、朝夕食付けて合計Rs2、800との事、ホットシャワーも出るし、2ベッドに蚊帳が二丁張ってあるし、下僕がいて、犬もいて、車庫には古いランドローバーの自動車も置いてある、安心出来そうなので、二食つけて5泊宿泊する事とした。

 ゲストハウスのオーナーさんはビートライスさん。夫婦と、一人の娘さんと,住み込みの召使い夫婦と、他に娘が二人いるがアメリカに留学中と云っていた。今日の夕食はビーフカレー、パパラム、野菜、ポテトの家庭料理を食べさせてくれる、滞在期間中夕食は私が希望した料理か、スリランカ家庭料理を作ってくれると言う、朝はアメリカンスタイル、昼は町中で好きなものを食べれば良いのだ。
7月28日(木)キャンディー滞在初日はまず、次の訪問地まで行く、路線バスの停留所を確認しておく事が、滞在期間中の心を楽にしてくれる。

 8月1日には、ダンブッラと言う文化三角地帯の核心地まで民営バスで行きたい、国営バスはエアコンも無く、汚いオンボロバスで、しかも各駅停車するから時間がかかるし、第一乗り心地がすこぶる悪い、但し料金は民営エアコンバスの半額だけど。
 キャンディー駅の隣に位置するバスターミナルに行き調べる。行き先にはシンハラ語とタミル語と英語で表記されているからすぐ分かった、2時間位乗車してRs270、そして満席になったら出発するとの事、これでOKだ、バス停と行き先と時間と料金が判明すれば安心して滞在出来る。
 次にスリランカ政府観光局に行って町の地図と情報を仕入れる。観光局は湖畔のそば、仏歯寺近くにあった。地図と文化三角地帯の遺跡入場周遊券を購入する、ここではスリランカ各地に散らばっている遺跡の入場券を、個々に買わずに一括して購入出来るし、価格も安い。
 軽く屋台でロティーを食べて町を探検する。象が堂々と町中を歩いてゆく、この国は野生象の活動範囲と人間の活動範囲が重複しているまれな国なのだ。
 この町にもビールが置いていない、セイロン紅茶(甘すぎて飲みたくない)か、キングココナツ(テンビリと言う)か、ジンジャービヤーがある。ジンジャービヤーはジュースであるがビヤーとなっていて、冷たくて飲みやすい。キャンディー湖畔のベンチに腰掛けてジンジャーをラッパ飲みしながら涼むと、熱帯にはない涼しさが頬をよぎる。

 標高300mのキャンディーは四方を山に囲まれていて、更に湖の影響で町全体が涼しい。イギリスはこの島を占領したとき、ここを避暑地として利用した意味がよく分かる、滞在しているGH(ゲストハウス)の部屋にはエアコンが無く、夜は厚手のブランケットを借りた位の涼しさであった。
 昼食は目の前の「クイーンズホテル」で食事とした。このホテルはキャンディーでは場違いの由緒あるホテルで、スリランカで最も有名なホテルの一つである。
 イギリスの伝統を巧みに採り入れたコロニアル風の建物が、ステータスを感じさせる。正面に立つとドアマンが扉を開ける、小さいけれど落ち着いたロビー、私は中華料理が食べたくて、二階の中華料理レストランに案内された。海老卵入りチャーハンを注文して半分程食べたら投げ出した、辛くて、しょっぱくて、おまけにまずいのだ、コックはスリランカ人だった。

 博物館等の見学は明日にして、午後はキャンディー芸術協会を訪ねた。ここではスリランカの工芸技術の伝承と教育が行われていると云う、私は彫金技術に釘付けとなってしまった。真鍮の板を鋏で切り出し、タガネと金槌でヒンズーの守護神を打ち出して行くのだ。私は職人に「ガネーシャ」のペンダントを注文したら、下絵も描かず、小一時間で見事に作り上げた。
 夕方、キャンディアンダンスが開催されると聞いて、宿の近くにあるYMBAに立ち寄った、この踊りはスリランカを代表する芸能だと云う、正式には「ウダ・ラタ・ナトウム(高地の踊り)」と言う。
日本語のプログラムが置いてあるのには驚いた。今ではショー的な要素が強いが、キャンディー王朝時代宮廷内で踊られていた舞を中心に、各地の民族舞踊を採り入れてショー仕立てに作られていると書いてある。仏陀に祈りを捧げる踊り、孔雀の舞、戦場に向かう勇士の舞、悪魔払いの踊り、女性達が篩いを持つ豊作祈願の踊り等10種類程の演目があった。
 訪ねた国々で観賞する民族芸能は、その国ならではの特徴が新鮮な感動を与えてくれる。タイの「ラーマヤナ」、インドネシアの「影絵、バリのバリス、ケチャ」 ベトナムの「水上劇」、カンボジャの「アプサラの踊り」は特に心に刻まれている。
                続く