紀行文

スリランカを歩く(13)
2012年3月01日
池 内 淑 皓
[帰国日]
見納めのインド洋  スリランカ最後の朝食
ゴール駅、 シンハラ語、タミル語、英語の表記 駅の時刻表(乗車する列車は10:55発)
モホティーさん家族の写真(見せてくれた写真をデジカメでパチリ) さようなら!モホティーさん  コロンボフォート駅にて

 8月12日(金)、長い様で短かったスリランカでの21日間、格安航空券の有効期限は今日で切れるから、バンダーラナーカヤ空港へ、20時までに行けば日本に帰れる。リコンファーム(予約の再確認)は、既にキャンディーで済ませてあるから大丈夫なはずだ。
 何となく心が高揚して、朝5時に目が覚める、要塞に寄ってもう一度インド洋をカメラに納めて、行きつけのミニショップでパンとワディー(豆をすりつぶして野菜、唐辛子等を混ぜて油で揚げたもの)を買い、次の雑貨屋で熱いコーヒーを仕入れて宿で朝食とした、昨日の女性も一緒にインド洋を見ながら最後の朝食。
 荷物をまとめ、不要となったキンチョールのスプレー缶を彼女にあげる、この時初めて彼女は自分の身分を明かしてくれた。北海道の出身で、北部方面の自衛官だと名乗った、道理で勇敢に独り旅をしていると思った、空手チョップが飛んで来なくて良かったと、内心ホッとした。

 ゴール駅発の列車は、コロンボ駅を過ぎて、終点のアヌラーダプラまで行く長距離列車であるから、多分乗客が多いに違いないと思って、早めに駅に行くことにし、GHのカリッズさんに「マアッサラーマ」(アラビア語でさようなら)と挨拶したら、「ニャッ」と笑った顔が印象に残った、さすがにアラビヤの商人。
 一緒に乗ろうと言ってくれた博物館のモホティーさんはホームに居ない、当てにはしなかったが、案の定と思いホームに並ぶ、西欧人のバックパッカーが多くて、座席に座れない可能性が出てきた。
 10時55分発の列車は、10分程遅れて始発のマータラから来た。二等車の車両に向かって歩くと、窓から私に向かって手を振っている人がいる、モホティーさんだ、走って彼に向かってリュックサックを窓から放り込んでから、ゆっくり列車に乗る。車両は既にゴール到着前から満員、東南アジアのどこの国の鉄道でも、同じように普通列車はいつも満員だ。

 モホティーさんの座席に到達したら、窓側の席を譲ってくれた、「どうしてゴールから列車に乗らなかったのですか?」と聞いた、彼は奥さんと子供三人の五人家族でアヌラーダプラへお参りに行くのだと言う。
ゴールからでは家族全員が座れないから、始発のマータラ駅から乗ったのだと言う、朝早くバスでマータラまで行き、そこから家族全員が座ってきたと言う、多分私を座席に座らせたいために努力してくれたに違いない。
 ゴールで降りる2時間半、スリランカ語と日本語の練習を続ける、いつか日本に行きたいと、熱く夢を語ってくれたが、「日本で待っているよ」と答えるのが精一杯の答だった。
列車から降り際、お母さんにそっと謝礼を握らせた。はにかみながら微笑んだ顔が今でも目に浮かぶ。
 ゴールでTV局のプラカウシュさんに会おうかなと思ったが、時間をとられて搭乗手続きに間に合わないとまずいので、会わずに昼食を食べて、空港行きの路線バスに乗る、終点で無料の空港内行きのシャトルバスに乗り換えて17時過ぎ発券カウンターに着いた、あとは日本へ帰るだけだ。

 今回の旅も、たびたび予期せぬ出来事に会ったけれど、身に及ぶ危険な状況は一度も無かった。人々は桁はずれに親切で優しい、物質的には恵まれていなくても、仏への喜捨は欠かさず、お供え物と花は必ず供える。酔っぱらいがいず、路上での争いは一度も目にしなかった。
 伝統的に米と紅茶とゴム、ココナッツを中心とする農業依存の経済であるが、タミルイーラムとの和平がなって、治安の安定により、観光客が著しく増加し、ホテル、飲食業が伸びてきている。
 スリランカから日本への輸出品は紅茶、水産物、繊維等193億円、輸入品目は自動車、機械、化学原料等551億円となっている。

 2,010年の主要援助国は一位が中国で25.4%、インド14.8%、日本13.5%となっている、そして8,973人のスリランカ人が祖国のために日本で働き、技術を学んでいる。
 インドのマンゴーと言われる島国、北海道より小さなこの国から、週三便の飛行機が、9時間かけて成田に飛んでくる。スリランカ人は、同じ仏教国として、アジアのリーダーである日本を敬愛しているに違いない。 (一部外務省HPから引用)
 最後にスリランカのカレーを食べさせるお店を紹介して 完 としたい。
 「タジマハール」 藤沢市湘南台1-25-17 0466-43-1765  スリランカ、インドのお茶、食材が手に入る。
                                                       完