小栗判官伝説ゆかりの里を訪ねる 1-2

八柳 修之

乾御殿で小栗主従毒酒に当たる図
そこで、毒を入れた酒を呑ませて殺そうとした。照手姫はこの計画を小栗に告げたが、再三勧められ密ぼうにかかって命を落としてしまう。横山は小栗の財宝を奪い、その死体を上野原に捨てる。
遊行太空上人閻魔王の夢想に蒙る
ある夜、遊行十四代の太空上人に、閻魔大王から小栗一人がいまだ宿業ならず、蘇生させた。早く救いだし熊野の温泉に浴せば回復するという夢のお告げがあった。

太空上人は実在の人物。前述、禅秀の乱によって両者に多数の死傷者が出たが、太空上人は一山の僧と近在の人々と共に、両軍の負傷者を治療、敵味方の区別なく平等に供養し「敵御方供養塔(怨親平等)」を建立し、その霊を弔った。遊行寺東門を入り、すぐ左側にあります。大正15年に国指定史蹟に指定されている。
土震塚(すなふるいつか)福祉施設湘南ゆうき村向い側、道をはさんだ畑の中にサカキの大木が茂る。
小栗判官が蘇生し、土を震った所と伝えられる。
案内板などはない。
判官蘇生熊野本宮の霊浴に赴くの図
太空上人は生き返った小栗を土車に乗せ、僧二人を付けて、熊野本宮湯の峰に送り、温泉に浴して恢復する。一方、照手姫は小栗が毒殺されるのを見て、大いに悲しみ嘆き、密かに横山の館を逃れ出、武蔵の金沢に至るが、追手に捕られ、武蔵金沢の侍従川に捨てられる。
*侍従川(じじゅうがわ)は現存する。地図で見る限り小さな川である。
嫉妬女六浦で照手姫を松葉燻の図
六浦の漁師に助けられたが、漁師の妻は嫉妬深い者で、照手姫の美しさを憎み、松の大枝を積んでいぶし殺そうとした。挙句の果てに人買いに売られて美濃の国、青墓の宿場で働く。照手姫は小栗とも知らずに、小栗を乗せた土車を引いた。
照手姫法躯して長生院に住す
その後、元気となった小栗は横山を討ち、照手姫を妻に迎えた。小栗の死後、照手姫は剃髪して長生尼と名乗り、小栗と家臣の菩提を弔った。
遊行寺長生院小栗堂

境内には小栗判官と十勇士、照手姫、鬼鹿毛のものという墓がある。

その1完。その2では、小栗判官伝説の地を訪ねてみることにする。